【視点】史跡指定 遺跡活用の第一歩に 

 八重山には年間約140万人の観光客が訪れているが、ほとんどの人たちは、空港内にそのような貴重な遺跡があるとは気づいていないだろう。県教育庁は来年度以降、有識者を含めた委員会を設置し、案内板の設置による周知を含めた遺跡の活用方法を検討する。幅広い意見を取り入れ、宝の持ち腐れに終わらないよう努力してほしい。
 場所が空港の中だけに、史跡指定後も、一般の人たちが日常的に見学できるようにすることは難しい。もともとが墓域でもあり、地元からは興味本位で遺跡がツアーに組み込まれるようなことは避けてほしいという声も上がる。
 だが空港ロビーなどに案内板、遺跡の近くに標識のようなものを造り、少なくとも空港利用者が遺跡の存在に気付くような配慮は必要だろう。学問的な関心を持つ人を対象にした見学会も数を増やしてほしい。
 石垣市は将来的な滑走路延長などを要望しているが、史跡に指定されれば現状変更は不可能になるため、遺跡の保全に配慮した上で計画を進めなくてはならない。
 八重山は美しい自然や豊かな文化で知られるが、太古につらなる悠久の歴史を持つ島々であることも学術的に明らかされた。
 八重山の魅力に「考古学の島」としての新たな一面が加わった。今回の史跡指定で地域住民が島の歴史に対する関心や知識を高め、本土や世界の人たちに誇りを持って語れるようにしたい。

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