視点 【視点】観光中心に経済拡大の1年 1年間を振り返る時、多くの人たちにとって評価の基礎となるのは経済ではないか。今年の沖縄は順調に観光客数が伸び、雇用も活発で、経済の拡大基調が続いた。総体的に、まずまずの1年だったかも知れない。 観光客数は1千万人時代に突入し、沖縄本島だけでなく離島の宮古、八重山に至るまで活気がみなぎっている。宮古はさながらバブル期のようだと言うし、八重山を訪れた観光客も、今年は過去最高の140万人台に達する見… 2019/12/29
視点 【視点】辺野古移設、茨の道でも前へ 米軍普天間飛行場の辺野古移設工事が、当初予想の2倍近い約9年3カ月に達する見通しになった。総工費は約9300億円で、飛行場整備も含めた事業完了まで約12年かかるという。 移設工事は、同飛行場がある宜野湾市民の危険性除去が最大の目的である。工事が長期になればなるほど、本末転倒との批判が高まることは必至だ。時間との戦いになるのかも知れないが、防衛省は少しでも工期が短縮できるよう、今後も最大限の努力… 2019/12/28
視点 【視点】IR事件 沖縄進出望んだ中国企業 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業への参入に絡む収賄容疑で衆院議員の秋元司容疑者が逮捕された。贈賄側とされた中国企業「500ドットコム」が2017年8月に那覇市で開いたIRに関するシンポジウムが両者の接点になったとの報道もあり、沖縄も事件と無関係ではない。 IRは外国人観光客誘致に有効な成長戦略の一環とされ、大阪府、大阪市が運営事業者の誘致に向けて全国初となる公募手続きを開始。横浜市、… 2019/12/26
視点 【視点】陸自配備、円滑な市有地提供を 石垣市は防衛省に対し、陸上自衛隊配備計画の予定地となっている平得大俣の市有地を売買と賃貸で提供することを決めた。施設整備予定地は売却、残りの部分は賃貸の方針だという。今後、市議会に市有地売買の承認を求める議案が上程される予定だ。 陸自配備予定地では防衛省が買収した民有地で駐屯地建設に向けた用地造成工事が進んでいる。隣接する市有地は長く宙ぶらりんの状態が続いていたが、市がようやく一定の方針を打ち… 2019/12/24
視点 【視点】島と調和したゴルフ場建設を 「ゴルフ外交」という言葉が最近、ニュースをよく賑わせる。安倍晋三首相とトランプ米大統領が相互に相手国を訪問する際、現地でゴルフを楽しみながら個人的関係を深めているのだ。トランプ氏は自らゴルフ場を所有するが、やり手のビジネスマンでもある大統領がそこまで熱中するほど、ゴルフには不思議な魅力があるようだ。 ところが、石垣島の住民や、島を訪れた観光客はゴルフを心ゆくまで楽しむことができない。チャンピオ… 2019/12/20
視点 【視点】バランス外交に危うさも 米議会で圧倒的な支持を得て可決された香港人権法にトランプ大統領が署名し、同法が成立した。自由と民主主義の騎手として、人権を弾圧する中国への対決姿勢を鮮明にしたことになる。中国との関係改善を進める日本だが、対中融和姿勢が過ぎれば、米国との板挟みになる可能性もある。 中国政府は声明で「誰も中華民族の偉大な復興を止めることはできない」などと居丈高に反発した。そもそも、香港で問われているのが自由や民主… 2019/11/30
視点 【視点】1千万人突破 沖縄観光の質的向上を 2018年度に沖縄を訪れた観光客数は1000万4300人で、初めて1千万人台の大台に乗った。当初、県は999万人台と発表していたが、集計ミスが発覚し、当初の発表から半年以上も経って修正した数字を明らかにした。 沖縄の観光産業にとって歴史的な節目になるはずだったが、何とも気まずい。首里城の焼失もあり、とても祝賀ムードが盛り上がる状況ではないだろう。 だが実際、観光客数の増加に浮かれている場合で… 2019/11/29
視点 【視点】人頭税の歴史と離島差別 宮古島出身の歌手、うえち雄大さんが25日、石垣市を訪れ、各中学校に著書「宮古人頭税物語第2弾 夢の扉」を贈呈した。 人頭税は琉球王国が宮古、八重山から取り立てた過酷な税制で、納税の能力にかかわらず、住民に頭割りで課されたとされる。琉球王国滅亡後も存続し、1903年(明治36年)に至って廃止されるまで、260年、先島住民を苦しめ続けた。 うえちさんは歌や著書を通じ、人頭税に苦しめられた祖先たち… 2019/11/27
視点 【視点】住民投票の可否、司法で決着へ 石垣島への陸上自衛隊配備計画で、石垣市住民投票を求める会の金城龍太郎代表らが住民投票の実施を求めて市を提訴した裁判が19日、那覇地裁で始まった。陸自配備に関する問題が司法の場に持ち込まれるのは初めてとなる。 石垣島平得大俣地区では既に駐屯地建設に向けた用地造成工事が始まっており、仮に原告が勝訴して住民投票の実施が決まっても、配備に及ぼす実質的な影響は少ないと考えられる。しかし陸自配備問題は市政… 2019/11/21
視点 【視点】最長政権、改憲の道筋見えぬまま 安倍晋三首相の通算在職日数が20日、憲政史上最長となった。集団的自衛権の行使容認と安全保障関連法の成立、日米、日中関係の安定化など、内政や外交に手腕を発揮してきたが、任期が残り2年と迫る中、首相の悲願である憲法改正の道筋はいまだに見えない。 安倍首相は憲法に自衛隊を明記する改正を2020年に施行したい方針を示していたが、野党には反対論が根強く、与党の公明党も慎重姿勢を崩していない。 首相とし… 2019/11/20
視点 【視点】負担増求める米国に日本は 在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)を巡り、トランプ米政権が日本政府に対し、現行から5倍の増額を求めていたと報道された。駐留経費負担は2019年度予算で約1974億円を計上しており、単純計算すれば9800億円以上の巨額要求となる。 一方、菅義偉官房長官は18日の記者会見で「そのような事実はない」と否定。現行の在日米軍駐留経費負担特別協定は21年3月まで有効だと指摘した上で「現時点で新たな協定… 2019/11/19
視点 【視点】史跡指定 遺跡活用の第一歩に 石垣島から太古のロマンが全国に発信されるようなニュースだ。国の文化審議会は15日、白保竿根田原洞穴遺跡を新たな史跡に指定することを文部科学相に答申した。 日本最古の約2万7千年前とされる人骨が発見された遺跡として有名だが、遺跡の価値に対する理解をさらに深め、学問的な活用を進める機会にしたい。空港を利用する市民や観光客にも周知し、遺跡を活用するための第一歩でもある。 新石垣空港で飛行機に乗ると… 2019/11/16
視点 【視点】中国主席「国賓」に違和感 沖縄は今も2週間前の首里城焼失の関連ニュースで持ち切りだが、東アジアは緊迫している。沖縄の将来にとって、もっと重要な問題にも目を向けなくてはならない。 自民党の保守系グループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」のメンバーは13日、岡田直樹官房副長官を首相官邸に訪ね、来春予定される中国の習近平国家主席の国賓としての来日に反対する決議文を手渡した。多くの国民が抱く率直な感情を代弁していると言えるだ… 2019/11/15
視点 【視点】経済好調でも深刻化する人手不足 八重山公共職業安定所が発表した2019年度上半期(4~9月)の有効求人倍率は1・65倍で、過去2番目の高水準を記録した。観光を中心に経済が活況を呈していることが背景にあるが、旺盛な求人は、裏返せば深刻な人手不足の表れでもある。人手不足は今や全国的な問題になっているが、特に離島の八重山や宮古では官民が対策に知恵を絞らないと、好調な経済の足を引っ張りかねない。 新規求人は、やはり観光関係産業が多い… 2019/11/13
視点 【視点】首里城、単純な復元に終わらせるな 焼失した首里城を再建するため、玉城デニー知事は7日、知事直轄の新部署や関係課長で組織するワーキングチームの設置を発表した。県が再建へ前のめりになっているように見えるほどのスピード感だ。八重山住民の立場からすると、離島振興にも同じくらいの熱意を持って取り組んでほしい気もするが、首里城再建が県政の重要課題であることは間違いない。首里城は沖縄の観光振興のためにも必要な施設であり、ぜひ早期の再建に向けた… 2019/11/08
視点 【視点】なぜ防げぬ 貴重動物の事故死 2日に石垣島でカンムリワシ、3日に西表島でイリオモテヤマネコが相次いで交通事故死した。いずれも国の特別天然記念物だ。豊かな生態系は八重山のかけがえのない財産なのに、貴重な動物の事故死は後を絶たない。 石垣島、西表島は国立公園に指定され、西表島は世界自然遺産登録を目指している。ヤマネコは竹富町、カンムリワシは石垣市のシンボルとして住民に愛されている動物でもある。官民一体となった保全運動が求められ… 2019/11/07
視点 【視点】首里城火災 責任の所在明確に 首里城焼失の衝撃が冷めやらない中、出火原因や被害拡大の究明に向けた動きも徐々に始まった。 重要な文化施設でありながら、首里城には火災時、自動的に放水を開始するスプリンクラーが設置されていなかったことが明らかになった。 法的な設置義務の有無は別にしても、防火体制に穴があった可能性は否定できない。現場が焼失していれば出火原因の特定も容易ではないだろうが、波紋の大きさを考えると、原因不明や不可抗力では… 2019/11/03
視点 【視点】「沖縄のシンボル」焼失の衝撃 首里城の正殿など主要部分が10月31日未明に焼失した。沖縄のシンボルとして多くの県民に親しまれる建造物が一夜にして灰燼(かいじん)に帰した。玉城デニー知事は「アイデンティティのよりどころを失ってしまった」と語ったが、衝撃は計り知れない。沖縄本島では同日予定されていたさまざまなイベントが相次いで中止になり、テレビのローカルニュースは火災関連の話題一色になった。 首里城は琉球王国(1429~187… 2019/11/01
視点 【視点】離島医療の脆弱さ浮き彫り 竹富町の県立八重山病院付属西表西部診療所で今月から常勤医が不在になり、石垣島の同病院や、西表東部の大原診療所からの代診医が対応している。日によっては臨時休診も強いられており、離島医療の脆弱性が改めて浮き彫りになった。 謝花喜一郎副知事は28日、西大舛高旬町長の要請に対し、11月までに常勤医を配置する考えを示した。県の迅速な対応は評価したいが、住民は実際に常勤医が着任するまで安心できない。 西… 2019/10/31
視点 【視点】知事の訪韓 何の意味があるのか 沖縄を訪れる韓国人観光客が急減していることを受け、玉城デニー知事は30日から訪韓し、経済団体、旅行業団体、航空会社、地方自治体の関係者と面談する。 韓国人の訪日キャンセルは日本の輸出管理強化を直接的な要因として全国的に起きている現象であり、沖縄の知事が訪韓したところでどうこうなるものではない。今の時期に訪韓することに何の意味があるのか疑わざるを得ない。 知事が9月に韓国向けに発した友好のメッ… 2019/10/28