視点 【視点】尖閣問題 市は引き続き積極姿勢を 尖閣諸島(石垣市)周辺の日本両空港を飛行する自衛隊機に対し、中国海警局の艦船が無線で退去要求を始めた、と共同通信が報じた。自衛隊機が中国の「領空」を侵犯したとみなす行為であり、中国の尖閣侵奪に向けた新たな動きと言える。八重山住民や沖縄県民も含め、中国が徐々に間合いを詰めていることを認識し、危機感を持って事態を注視すべきだ。 中国政府は尖閣周辺に中国海警局の艦船を常駐させ、周辺で操業する日本漁船… 2024/02/07
視点 【視点】経済復活が最大の課題 岸田文雄首相は施政方針演説で「『経済の再生』が岸田政権の最大の使命」と改めて強調した。現在、日本が直面している最大の課題が経済の停滞であることは疑う余地がない。力強い経済の復活に向け、政権だけでなく民間も含めて全力を挙げる必要がある。 かつて世界第2位の経済大国として隆盛を誇った当時に比べ、現在の日本経済を見渡して気づくのは、世界をけん引するような先端技術がほとんど見られなくなったことだ。家庭… 2024/02/02
視点 【視点】少子化 島々も存続の危機に 少子化に歯止めが掛からない。2023年1~11月の出生数は前年同期比5・3%の約69万人で、12月も同じペースだった場合、通年では70万人半ばとなり、過去最少となる可能性が高まった。 少子化がこのまま進行すれば、最初に大きな打撃を受けるのは、もともと人口が減少傾向にある離島や過疎地域の自治体だ。 八重山では、石垣市こそ人口が初めて5万人を突破するなど増加傾向にあるが、竹富町、与那国町は厳しい… 2024/01/25
視点 【視点】頼氏当選 台湾との連携強化を 台湾総統選では与党、民進党の頼清徳副総統が初当選し、中国と距離を置く民進党の候補が初めて3期連続で政権を担うことになった。 地理的に近い八重山ではもともと、台湾に対する関心が高い。最近は台湾有事への懸念が急速に高まり、例年にも増して総統選の行方に注目が集まっていた。 台湾総統選は、民主主義の手続きを経てリーダーが選ばれたことに何より大きな意義がある。共産党一党独裁の中国は台湾統一を主張するが… 2024/01/16
視点 【視点】辺野古 多様な声に耳傾けよ 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設工事で、沖縄防衛局は軟弱地盤がある大浦湾側の埋め立てに着手した。普天間飛行場の早期撤去は宜野湾市民のみならず県民全体の総意でもある。移設完了は早くても2030年代半ば以降とされるが、政府は工法の工夫などでスピードアップに努め、できるだけ早期の基地負担軽減に向けて努力してほしい。 玉城デニー知事は10日の記者会見で、大浦湾側の工事着手について「丁寧な説明とは真逆… 2024/01/12
視点 【視点】沖縄、波乱含みの年明け 2024年は「静かな凪(なぎ)の年に」と願ったのは、日本で台湾に最も近い与那国町の糸数健一町長だが、現実には波乱含みの年明けになったと言えそうだ。 中国の習近平国家主席は昨年末、新年に向けたあいさつで、台湾統一について「歴史的必然だ」と改めて強調。また、昨年11月下旬には、石垣市の尖閣諸島周辺に艦船を派遣している中国海警局を視察し「釣魚島(尖閣の中国名)の主権を守る闘争」の強化を指示したと報じ… 2024/01/06
視点 【視点】いつまで泥仕合続けるのか いったい、いつまで沖縄県民を泥仕合に巻き込み続けるのか。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る代執行訴訟で県が敗訴したことを受け、玉城デニー知事は最高裁に上告したと明らかにした。既に確定した最高裁判決に従わない姿勢を示している以上、最高裁で逆転勝訴する見込みは極めて薄い。訴訟を続行するのは県民の利益のためなのか、それとも自らの支持層へのアピールなのか、玉城県政の姿勢に疑問を抱かざるを得ない。 … 2023/12/28
視点 【視点】離島の民意に向き合うべきだ 台湾有事を念頭に、自衛隊、海上保安庁が円滑に利用できるよう政府主導で整備を進める「特定重要拠点空港・港湾」に、県内から新石垣空港、与那国空港、波照間空港を含む7空港が選ばれる見通しになった。石垣港、新たに整備される与那国の港湾など5港湾も指定候補となっている。 だが、玉城デニー県政は指定に同意しない考えを政府に伝えた。地元の石垣市や与那国町から要望が出ている新石垣空港、与那国空港の滑走路延長事… 2023/12/21
視点 【視点】墜落事故 人命の尊さに思い馳せ 米空軍のCV22オスプレイが屋久島沖で墜落した事故は、搭乗員8人の死亡が認定される大惨事となった。沖縄県議会など県内各自治体の議会は抗議決議などを可決し、米軍はオスプレイ全機種の飛行を停止した。事故の波紋は世界的な広がりを見せている。 石垣市議会でも、野党が機体の安全性が確認されるまでの飛行停止を求める意見書を提案。審議の段階で与党側から、死亡した乗員に対する哀悼の言葉を加えるよう求める意見が… 2023/12/09
視点 【視点】オスプレイ 飛行再開へ原因究明を 米軍横田基地所属のCVオスプレイが鹿児島県の屋久島沖で墜落し、搭乗員1人の死亡が確認された。残る搭乗員7人の安否が不明となっている。 まずは行方不明者の一刻も早い救出を祈りたい。その上で事故原因を早急に解明し、事故防止策が確立されれば円滑な飛行再開を目指してほしい。 オスプレイは陸上自衛隊も木更津駐屯地で2020年から導入しており、V22を14機保有している。10月には日米共同訓練の一環で新… 2023/12/01
視点 【視点】沖縄にまたミサイルの脅威 北朝鮮が21日、「人工衛星」と主張する事実上の弾道ミサイルを発射した。ミサイルは沖縄本島と宮古島の間を通過したと見られており、北朝鮮によるミサイルの脅威がまた沖縄に迫った。国際社会の懸念を無視してミサイル発射を強行した北朝鮮に対し、沖縄県民として憤りを禁じ得ない。 23日には那覇市で沖縄の防衛強化に反対する「平和大集会」が開かれ、石垣市でも連動したイベントが企画された。 「沖縄を二度と戦場に… 2023/11/24
視点 【視点】GDP転落 日本の岐路 ジャーナリストとして戦前日本の拡張政策を批判し、戦後は政治家として首相も務めた石橋湛山が没後50年の今年、再注目されている。6月には超党派の国会議員でつくる「石橋湛山研究会」が結成され、石橋の軌跡をたどる書籍も次々と発売された。 戦前、石橋が主張したのは植民地の放棄であり、領土の拡張などで大国を目指す「大国主義」とは逆の「小国主義」とも言うべき思想だった。今年、改めて石橋が見直されている理由は… 2023/11/17
視点 【視点】司法無視の正当化は許容できず 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る設計変更承認の代執行訴訟で、玉城デニー知事が福岡高裁那覇支部で開かれた口頭弁論に出廷した。「国が沖縄県との対話による解決の努力をしていない」「異常なのは、県民が嫌だと声を上げているのに、辺野古新基地こそが県民の負担軽減だと言って建設を強行する国の姿勢である」と主張した。 不可解な論理であるとしか言いようがない。この裁判で問われているのは、最高裁判決によっ… 2023/10/31
視点 【視点】隙のない訓練で離島守れ 離島防衛を想定した陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」が国内各地で始まった。沖縄県内では石垣駐屯地と与那国駐屯地で共同の指揮所設置などが予定されている。 沖縄・八重山は台湾に近く、尖閣諸島を行政区域に抱える。好むと好まざるとにかかわらず、軍事力を拡大させる中国への最前線とならざるを得ない。政府・自衛隊は訓練を通じて隙のない備えを構築し、沖縄の離島を守り抜く決意を内外に示… 2023/10/18
視点 【視点】有事見据えたインフラ整備を 台湾有事に備え、政府が南西諸島を中心に空港や港湾の機能強化に乗り出しており、八重山でも新石垣空港の滑走路延長などが、にわかに現実性を帯びてきた。3市町は従来、観光インフラ整備の観点から滑走路延長を国、県に要望してきたが、近年では有事の際、住民の避難を円滑に進めるためにも延長が必要だと訴えている。離島住民として、早急な事業の具体化を望みたい。 政府は昨年12月に安保関連3文書を改訂し、国家安全保… 2023/10/10
視点 【視点】法治国家の首長と言えるか 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、玉城デニー知事は4日、斎藤鉄夫国土交通相が同日までの期限で指示した設計変更申請の承認に応じない考えを示した。記者団に「現段階では承認とも不承認とも判断できない」と述べた。 承認は最高裁判決に基づく法的義務だ。それを拒否して、法治国家の首長と言えるのだろうか。 「判断できない」「期限までの承認は困難」と詭弁を弄してはいるが、この案件では、そもそも知事に… 2023/10/05
視点 【視点】沖縄の危機こそ訴えるべきだ 玉城デニー知事は17日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会に出席するため、沖縄から出発した。同理事会で18日にも演説し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対を訴える。だが今、沖縄から広く、国際社会に発信すべきは、本来は国内で解決すべき米軍基地問題ではない。 中国が石垣市の尖閣諸島周辺に侵入し、市民に不安に陥れている問題や、台湾有事に対する県民の懸念こそ訴えるべきだ。それが沖縄にとって「今そこ… 2023/09/19
視点 【視点】辺野古敗訴 県は対立に終止符を 米軍普天間飛行場の移設先、名護市辺野古の地盤改良工事を巡る訴訟で、最高裁は4日、県の上告を棄却した。地盤改良工事の設計変更を不承認とした県に対し、国土交通相が出した「是正指示」を適法とした福岡高裁那覇支部の判決が確定。県は設計変更を承認する法的義務を負うことになった。 辺野古移設阻止に向け、県が国を相手取った訴訟は13件あるが、和解や取り下げとなった4件を除き、県の敗訴は7件となった。 移設… 2023/09/06
視点 【視点】中国の恫喝 毅然と対峙を 東京電力福島第1原発の処理水放出に対し、中国が対抗措置として日本産農水産物の輸入禁止を打ち出すなど、日中間の緊張が高まっている。 日本国内には中国からと見られる迷惑電話が相次ぎ、中国では日本大使館、日本人学校への投石すら行われるようになった。中国政府は反日感情を煽るだけで、有効な対策を打ち出そうともしない。中国の対日姿勢は恫喝(どうかつ)外交そのものであり、日本政府には毅然とした態度で対峙して… 2023/08/30
視点 【視点】食料自給率低迷 平時から方策を 台風6号の影響で石垣島に向かう貨物船が止まり、島内の大型スーパーでは食料品の棚が一斉に空になった。台風の影響が長期化すると、肉、野菜、加工品など、さまざまな食料品が次々と入手困難になっていった。私たちの食生活が島外からの食料移入で支えられていることを、目に見えて実感させる光景だった。 八重山は、島国である日本の縮図でもある。農水省の発表によると、2022年度の日本の食料自給率は、カロリーベースで前… 2023/08/18