新型コロナウイルスで売り上げが落ち込んだ地元店舗の支援策として、石垣市が打ち出したプレミアム付き商品券の発行事業に対し、市議会の与党内で異論が出始めた。商品券の購入代金として、市民に1万円の出費を求めることなどを疑問視している。野党も事業費を市民への現金給付に回すべきだとして、事業に反対する方針を固めた。市議会は13日の臨時会で、事業費約2億7000万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を採決するが、否決される可能性が高まっている。
同事業では、1万5000円分を購入できる商品券を1万円で全市民対象に発行。上乗せされた5000円分は地元店舗でのみ使用可能として島内での経済循環を促す。
これに対し、与党会派「未来」の後上里厚司氏は「1万円を払えない経済的弱者もいる。市民に5000円の商品券を配ったほうがいいのでは」と指摘。
箕底用一氏は「商品券を購入できない低収入の世帯に対する目配りがない。商品券を使える対象の業種も『夜の街』なども含むのでなければ、公平性に問題が出てくる。事業計画を練り直す必要がある」と苦言を呈した。
市に事業の再考を促し、応じない場合は「未来」会派として予算案に反対する方針。
仲間均氏も、経済的弱者に5000円の商品券を配ることが望ましいとした上で、今回の事業は「議員に対し、事前に何の相談もなかった」と批判。予算案に反対する考えを示した。
12日には市議会臨時会が2日間の日程で開会し、一般会計補正予算案は総務財政委員会に付託された。
野党は予算案を市民への一律5000円給付に組み替える修正案を提案する構えを見せたが、市当局は、議会が予算案を修正できる範囲を超えているとして難色を示した。
市議会は平良秀之議長を除き、与党12人、野党9人で与党が優位に立つが、予算案は与党から2人以上が反対に回れば否決される可能性が高い。