石垣市は、開会中の市議会9月定例会に提案した一般会計補正予算案に、テレワーク施設の整備関連費を盛り込んだ。島外から訪れた人たちが、島の暮らしを満喫しながら仕事に取り組める環境をつくることで、市への企業進出や移住を促す。市が事業主体の民間事業者に施設整備や運営の補助金を交付する「民設民営」の事業形態となる。
内閣府は東京への一極集中を是正する観点から「地方創生テレワーク交付金」を創設し、今年度予算で約100億円を措置した。市は内閣府の募集に応じ、8月に交付決定を受けた。
市で整備されるテレワーク施設の規模は、働ける人数を50人以上とし、オンライン会議ができる個室を3室以上設置する。光回線のインターネット環境とセキュリティ対策も完備する。
主に県外企業がサテライトオフィスとして活用することを想定しているが、地元住民が仕事で共有できるコワーキングスペースとしての機能も持つ。
2024年度末をめどに①県外企業6社を含む10社以上の利用②県外の1万人以上を含む年間延べ2万人以上の利用③施設利用をきっかけに10人以上が移住―という目標を掲げた。
市は「ぱいぬしまワーク拠点整備支援事業」と銘打っており、8月、プロポーザル方式で事業者を選定した。
総事業費は約1億1千万円。財源には国のテレワーク交付金約7156万円のほか、臨時交付金、企業版ふるさと納税を充て、市の負担分はない。事業者は事業費の2割を自己負担する。
市議会で予算案が可決されれば、事業者が市街地で既存の建物を確保し、テレワーク施設として改修した上で、年度内の開所を目指す。
市企画政策課の担当者は「離島の石垣市に製造業の企業進出は難しいが、IT企業などであればハードルは低くなる。地域の魅力を発信し、石垣ならではの働き方を提起したい」と期待した。
国はコロナ禍前から、沖縄振興策の一環として沖縄でのテレワークを推進している。
2019年4月、宮腰光寛沖縄担当相(当時)は「仕事(ワーク)と休暇(バケーション)を組み合わせた「ワーケーション」という造語を挙げ「例えば午前中に海で泳ぎ、昼からテレワークでしっかり仕事をして、夜は琉球料理と泡盛。こういうことが可能で、他の県にはない働く場所としての魅力がある」と述べた。