石垣市は、新型コロナウイルス感染拡大で中断していた石垣港でのクルーズ船受け入れ再開に向けた準備を進めている。CIQ(税関、出入国管理、検疫)施設は年度内に実施設計が完了し、財源が確保され次第、来年度にも建設に着手する見通し。クルーズ船の乗降客が利用する屋根付き通路の建設も進んでおり、来月には完成予定となっている。13日、市議会一般質問で市当局が報告した。
一般質問では、長山家康氏と伊良部和摩氏が石垣港へのクルーズ船寄港や、新石垣空港の国際線再開の見通しをただした。
下地敏之港湾課長によると、石垣港のCIQ施設は総事業費約12億5600万円で、財源には沖縄振興特別推進交付金の活用を見込む。
着手から完成まで2カ年の予定で、初年度は国に事業費約4億7800万円を要求。長山氏の質問に対し下地課長は「必要な財源が充当され次第、執行できるよう準備を進めている」と述べた。
来年度、建設に着手した場合、供用開始は2025年2月ごろを見込む。施設規模は、22万㌧規模の大型旅客船の寄港に対応可能な約3000平方㍍となっている。
屋根付き歩道はクルーズ船乗降客の利便性向上のために建設が進められており、工期は来年1月31日。伊良部氏の質問に対し下地課長は「工期内に完了する見込み」と答弁した。
石垣港でのクルーズ船受け入れには、県クルーズ船受け入れ全体協議会と下部組織の八重山地区協議会の合意形成が必要になる。国内のクルーズ船については11月末までに合意を得た。市は今後、海外のクルーズ船受け入れに向けた合意形成と受け入れ準備を進める。
下地課長によると、石垣港のクルーズ船寄港予約は11月末現在で23年約150回、24年約70回入っている。23年4~6月までの予約件数は83回で、乗客定員は約17万2600人となっている。
伊良部氏がただした新石垣空港の国際線再開について小切間元樹企画部長は「国の水際対策が大幅に緩和され、地方空港でも国際線受け入れが再開できる環境が整いつつある」と指摘。
実際の受け入れに当たってはCIQを担当する国の機関や、新型コロナ感染者が出た際の対応に関する保健所、病院などとの調整が必要と説明。「国際線再開に向け、庁内横断的に取り組んでいる」と述べた。