台湾有事への危機感を背景に、石垣市議会(我喜屋隆次議長)は国民保護のあり方などを議論する調査特別委員会を開会中の12月定例会で設置する方向だ。今年8月、中国が台湾を包囲する軍事演習で与那国島や波照間島の周辺海域に弾道ミサイルを撃ち込み、台湾有事の切迫感が一気に高まった。特別委が設置されれば、市議会として住民避難などの課題に、積極的に関与する姿勢を示すことになる。
16日の議会運営委員会で与党の長山家康氏が「台湾有事調査特別委員会」設置を提案する意向を示した。「住民の避難や、観光がストップすることによる生活保護、台湾からの避難者が来ることなども考える必要がある」と説明した。
一方、野党の砥板芳行氏は「(台湾有事をテーマに設定するのは)地方議会の権限を越える。国民保護計画の調査研究であれば取り扱える」と指摘した。特別委の名称に「台湾」という固有名詞を入れることも、石垣市と交流がある台湾側の感情を損ねると懸念した。
内原英聡氏は「台湾有事という言葉は政府が認めておらず、国も県も相手にしない」、長浜信夫氏は「むしろ議会として、有事にならないよう国に求めるべき」と主張した。
野党の異論を受け、特別委の名称を「国民保護計画等有事に関する調査特別委員会」に変更することで与野党が合意。委員は8人以内とした。19日の最終本会議で長山氏が特別委設置を提案する。
台湾有事を巡っては11月、日米が台湾に最も近い与那国島で共同訓練を実施。与那国島では政府などの主催で、ミサイル着弾を想定した住民避難訓練も行われた。
住民の危機感の高まりを受け、12月定例会の一般質問でも複数の市議が台湾有事を取り上げた。中山義隆市長は「好むと好まざるとにかかわらず、私たちの島は、いざ台湾有事が起こった際、何らかの影響がある」と述べた。