石垣市は、尖閣諸島に関する情報の発信拠点となる施設を新年度に整備する。領土・主権展示館(東京)の展示を参考に、パネルなどを設置し、尖閣諸島が日本固有の領土であり、市の行政区域であることを広くアピールする方針。10日の市議会一般質問で中山義隆市長が「早急に整備し、市民や国内外の観光客に尖閣の本当の姿を知っていただきたい」と表明した。
財源には、昨年12月から募集した「ふるさと納税」の寄付を活用する。市によると、2月時点で約6000万円が集まった。
尖閣諸島に関しては一般質問で友寄永三氏と石垣亨氏が取り上げた。小切間元樹企画部長は、新年度整備する情報発信拠点は市民や観光客が訪れやすい場所を想定していると答弁した。
市は国に対し、尖閣資料館の建設を求めているが、現状ではめどが立っておらず、市が整備する情報発信拠点は資料館とは別の施設になる。中山市長は「本格的な資料館建設を待つことができないので、市として情報発信するための施設整備、拠点を造りたい」と説明した。
友寄氏は「一日も早く情報発信の拠点を整備してほしい」と期待した。
市によると、現時点では新たな建物を整備するのではなく、既存の施設の一部を使用することを想定している。
同じ寄付金を活用し、尖閣諸島の新たな字名を表記した標柱も新年度予算で製作する。魚釣島、大正島、南小島、北小島、久場島に1本ずつ、計5本を設置する予定で、今後、国に上陸を申請する。
尖閣資料館について石垣氏は、東京都に約億円の尖閣寄付金が寄せられていることを挙げ「国は全くあてにならない。資料館の建設運営を国ではなく東京都に直接働きかけてはどうか」と提案。
尖閣諸島で無線中継局や船だまりなどを整備し、島の利活用を図ることが最大の情報発信だとして「一体、何に遠慮する必要があるのか。国に対しても強く申し入れてほしい」と求めた。
小切間部長は「尖閣資料館の建設が現在の都の条例上可能かも含めて今後、都と相談したい」と述べた。
石垣市は毎年、1月14日を「尖閣諸島開拓の日」に定めて式典を開催しており、今年は領土・主権展示館の地方巡回展も開かれた。