八重山で初のサバニレース 伝統を踏襲、10チーム参加

10チームが一斉にすべり出した=13日、舟蔵公園先の海岸

 沖縄の伝統的な木造船「サバニ」の保存を目的に、八重山フーカキサバニレース(主催・同実行委員会)の第1回大会が13日、石垣市内の沿岸で行われた。石垣、竹富、西表の各島と沖縄本島から計10チームが出場。舟蔵公園西側の海岸から赤崎までがコースに設定された。

 参加者らは、帆を揚げて風を集め、手漕ぎで舟を動かす伝統を踏襲(とうしゅう)。沖でギャラリーが「がんばれ」などと声援を送るのを後目に、直線距離約10㌔のコースを力を合わせて懸命に漕ぎ進めた。
 総合優勝は「黒潮」、側部に浮きをつけたアウトリガー付き部門優勝は「空海」が果たした(全体2位)。いずれも石垣のチームで、実行委の予想より早い1時間程度でゴールした。
 黒潮のリーダー・津村力さん(70)=野底=は「良い風が吹いてくれた」と話し、この日の風速4㍍のほどよい風に感謝した。
 黒潮は、結成10年を迎えた伝統あるサバニ同好会。2週間に一度はチーム5人で集まって練習しており、座間味村で開催されているレースで優勝した実績がある。チームワークには自信があると言い、津村さんは「練習が結果につながった。座間味大会にも出場する予定なので、良い予行演習になった」と喜んだ。
 また、黒潮と空海が使用したサバニは、大会前に亡くなった名工・新城康弘さん(享年96)が造ったもの。
 新城さんの弟子でもある吉田友厚実行委員長(48)は「師匠の舟がワン・ツーフィニッシュするとは。現場を見てほしかったが、天国で喜んでいるのでは」と感慨にふけった。
 同大会は、サバニ同好会や新城さんの弟子らが主体となって実行委を組織し、かつて遠洋漁業で活躍していたサバニを「伝統から無くしてはいけない」(実行委関係者)と企画された。
 昨年に予定されていたが、悪天候などが原因で延期に。約1年越しでの開催となった。吉田委員長は「10回、20回と大会が続くことを願う。昔ながらの方法で舟を進めるという魅力を発信することで、海洋文化が盛り上がってほしい」と願った。
 スタート前には舟蔵公園で開会式が行われ、八重山の伝統舞踊やフラダンスが披露された。

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