台湾有事などを見据え、石垣市は1日夜、国民保護計画の「住民避難実施要領」に関する市民との意見交換会を市民会館大ホールで開いた。武力攻撃が予測された場合、市は6日間で全住民を島外に退避させると想定。空路だけでなく海路も活用し、その場合は鹿児島港に向かう案も説明した。避難期間は1カ月、住まいは九州各県の旅館やホテルなどとする。
市役所周辺に設置するシェルターは、防衛省の民生安定助成事業の活用を目指し調整中。基本設計を今年度中に着手し、次年度以降に工事開始を目指す。
住民避難の際、航空機搭乗前の避難者情報と座席の登録方法の確立、島内移動に必要な大型バスと運転手の確保、手荷物の事前確認、船舶輸送が必要な要配慮者・ペット同伴者の把握、家畜の避難などを課題に挙げた。
空港での混雑を防ぐため、住民避難登録センターを屋内練習場に設置。危険物の回収を済ませてから、新石垣空港に移動する。
新石垣空港では、1日で10485人を避難させる。5番から9番スポットを使用し、各スポットで1日9便運航。ANAやJAL両グループと調整し、小型機(B738型、定員165人)、中型機(B788型、同335人)を、計25機確保する。手荷物は1人10㎏まで。石垣から福岡に避難する。
基本は空路で避難するが、要配慮者やペット同伴者は海路を利用。1日420人を想定。石垣港を拠点に県外に避難する。県の担当者は「使用する候補船はいくつかあるが、調整中だ。(先方から)了承はまだない」とした。
意見交換では、住民避難と自衛隊・米軍の石垣島への来援が重なった場合、避難行動に影響が出るとの指摘があった。
中山義隆市長は「自衛隊や米軍の艦船・航空機を使った避難は想定していない。民間機を使い、空港を24時間使うことなども想定している」と述べた。
シェルターについては「警察や消防などが最後に逃げ込む場所だ。多くても2千人を想定する」と説明した。