14日の尖閣諸島開拓の日を前に、尖閣戦時遭難事件を描いたノンフィクション「尖閣1945」の著者、門田隆将さんが13日、石垣市で記念講演する。門田氏は12日夜、市内の飲食店で取材に協力した事件の遺族らと再会。同席した中山義隆市長は、事件の生存者で唯一表彰から漏れていた見里清吉さんについて「表彰を検討したい」と述べた。実現すれば遭難から80年越しの表彰となる。
来島した門田さんは、遺族の金城珍章さん、岸本淳子さん、岸本さんの娘の島川千佳さん、歴史家の野原啓三さんを飲食店に招いた。岸本さん親子は名護市、他の3人は石垣市在。
門田さんは「取材でお世話になったので、ぜひともお礼がしたい。ノンフィクションは人と会わないと書けない」と遺族らに感謝した。
岸本さんの父、勇吉さんと、勇吉さんの兄、清吉さんは、尖閣諸島・魚釣島に漂着した遭難者の中から選抜され、救助を求めて石垣島に向かった「決死隊」のメンバー。
清吉さんは戦後間もなく海難事故で死亡したため、決死隊の中では唯一、表彰されていない。尖閣諸島文献資料編纂会の國吉真古事務局長と野原さんの調査、門田さんの取材が再評価のきっかけになった。
中山市長は参加者に対し、今年7月10日の市制施行記念日に合わせ、市政功労者の表彰に清吉さんを加えたいと伝えた。
参加者からは「尖閣1945」の出版に感激し「こんな本をつくってくれるとは思わなかった」という声も出た。
13日の記念講演会は午後3時から石垣市民会館大ホールで開かれる。門田さんと東海大の山田義彦教授が登壇する。入場無料。