石垣市観光交流協会青年部(請盛真実部長)の設立30周年記念講演会が23日、市内ホテルで開かれ「これからの石垣島観光~世界のベスト・アイランドを目指して~」をテーマに基調講演した琉球大学国際地域創造学部の下地芳郎教授(61)は、リゾート地が文化、ビジネス、サイエンスなど、それぞれ持つ観光資源の質を高める「ハイブリッドリゾート構想」の必要性を訴えた。
下地氏は「世界のツーリズムからすると、観光はレジャーと考える日本は異質」と指摘し、世界でビジネスとレジャーをかけた「ブレジャー」という動きがあり、ビジネスとレジャーの境目が曖昧になりつつある現状を紹介した。
その上でビーチリゾートや文化リゾートに加え、「ビジネスリゾート」と「サイエンスリゾート」に注目。ビジネスリゾートでは、情報産業や国内外への物流の強化に加え、企業などの会議やセミナー、国際会議や展示会など多くの集客が見込めるビジネスイベントの総称「マイス」(MICE)に重点的に取り組むべきだと訴えた。
サイエンスリゾートとしては、石垣市のもつ星空、サンゴ礁、動植物、海洋資源などを「研究素材」として見直し、その魅力を発信することを提言した。
沖縄マーケットの成長・成熟に伴い、自然・歴史・文化などの「沖縄らしさ」と「日本らしさ」を向上させつつ、施設や人材、エンターテインメントなど「都市機能」も併せて向上させることが、今後の沖縄観光の課題であると指摘。
OECDの資料を紹介し、大きく社会が変わることが予想される2030年を生きていくためには、知識・技能やそれらを活かす応用力の上に、「人格や人間性が求められている」と述べ、締めくくった。
講演後、請盛部長は「先輩方が築いた30年の重みを感じる。今日をステップとして頑張りたい」と意気込みを語った。