沖縄県の米国ワシントン駐在事務所が株式会社として設立され、地方自治法などに違反して運営されていた問題で県議会の調査特別委員会(百条委員会、座波一委員長)が7日開かれ、駐在事務所の初代所長、副所長の2人を参考人招致した。初代副所長の県職員、山里永悟氏は、翁長雄志前知事ら県首脳が当初から法人設立を認識していたことを証言した。
駐在事務所は翁長前知事の指示で2015年に設立。県の意見を米政府に届けるための政治活動を行うのに必要なFARA(ファラ)登録を行うため法人格を取得した。その際、米国弁護士の助言で株式会社の形態を取った。
山里氏によると、2015年5月1日に当時の翁長知事、安慶田光男副知事らが出席したウェブ会議で、法人登録を進めると説明。5月12日に米政府から株式会社設立の証明書が発行された。その後、初代所長の平安山英雄氏が翁長知事に直接、法人登録の原本を見せて登録を報告した。
法人が株式会社だったことについて山里氏は「株式会社と言われた時にはすごく違和感があった。事務所がどの国、どの地域の代理人組織か明確にするようにという米国務省の指導で法人格を取ったと理解した」と述べた。
法人が株式会社の形態であることを知事ら県首脳が明確に認識していたかについては「受け手によって異なるかも知れない」と述べるにとどめた。
ただ、二代目所長が「株式の公有財産登録をやっていないと認識していた」と明言。二代目所長が法人登録の資料を自分以外、見ることを許さなかったとも述べた。「大事な資料をブラックボックス化しては、資料の適切な管理は難しくなる」と批判した。
公務員が会社役員を兼ねる際に必要な営利企業従事許可についての議論が県庁で行われていたことも山里氏の証言で判明。山里氏は当時の県の認識に誤りがあったとして「県民の信頼を失墜した。重ね重ねお詫びしたい」と述べた。
一方、駐在事務所については「必ず役割を果たす」と存続を要望した。
初代所長の平安山氏は駐在事務所について、株式会社ではなく「特殊法人と認識していた」と強調。駐在事務所の政治活動について「私の認識ではロビー活動ではない」と述べた。
自らの身分については「2年間、一貫して県職員として勤め上げたつもりだ」と述べ、会社役員という認識を持っていたことを否定した。
百条委は次回以降も山里氏、平安山氏への質疑を続行する予定。