米軍普天間飛行場の辺野古移設の賛否を問う県民投票に宜野湾市、糸満市が慎重姿勢を示した。石垣市も県への協力には消極的。県は各市町村の12月議会で住民投票の投開票事務に必要な補正予算案を提案するスケジュールを想定しており、今後は各市町村長と議会の対応が焦点となる。
宜野湾市の松川正則市長、石垣市の中山義隆市長が指摘したのは、県民投票で辺野古移設反対が多数を占め、移設に悪影響が出た場合、現実問題として普天間飛行場の固定化がさらに長期化しかねないという懸念だ。
条例によると、県民投票の設問は「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う内容。松川市長が指摘したように、代替施設の建設が普天間飛行場の返還や危険性除去につながることには言及しないまま、新たな米軍基地の建設に対する賛否のみを問う設問になっている。
しかし実際には、代替施設は米軍キャンプ・シュワブの海域への拡張部分に建設され、新たな基地ができるわけではないため、設問そのものが誤解を招きかねない内容と言える。条例が「欠陥」を抱えていることもあり、今後、各市議会で県民投票の実施に理解が得られるかは見通せない。
県は県民投票を辺野古移設阻止に向けた重要な手段と位置付けるが、不参加の自治体が相次ぐ事態となれば、玉城デニー知事の手腕が問われそうだ。