石垣市議会(平良秀之議長)は1日の臨時会で、石垣島平得大俣地区への陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例案を採決し、賛否同数となったため、平良議長が否決を決定した。沖縄防衛局が2月中にも駐屯地建設工事の用地造成に着手する方針を示していることもあり、この日、野党の要求で急きょ採決が決まった。
臨時議会は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」の賛否を問う県民投票の投開票予算案を採決するため招集された。予算の可決後、野党の要求を受け、本会議をいったん休憩。住民投票条例案が付託された総務財政委員会が開かれ、採決が行われた。3対3の賛否同数となったが、砥板芳行委員長が否決を決定した。
再開した本会議で野党の長浜信夫氏は、住民投票の設問の選択肢に賛否のほか「どちらでもない」を追加し、3択とする修正案を動議で上程。賛成討論で野党は「(条例制定を請求した)1万4千人の署名は重い。一致団結して住民投票を実現させるため修正案を提案した」(花谷史郎氏)、「市民の権利を奪うことはあってはならない」(井上美智子氏)などと訴えた。
与党は反対討論で「なぜ急な採決に至らないといけなかったのか、はなはだ疑問だ」(我喜屋隆次氏)などと野党の対応を批判した。
採決では与党が反対、野党が賛成の方針で臨んだが、与党から仲間均氏が賛成に回り、公明の石垣達也氏が退席したため、10対10の賛否同数になった。
閉会後、報道陣の取材に対し平良議長は「1万4千人の署名は重く受け止めるが、条例の審議時間があまりに短く、議会運営上、これでいいのか強く心を痛めていた。(審議は)まだ条例案の中身には入っていないと認識している」と説明した。
同じ公明会派である石垣氏の退席については「公明としては、どちらかに偏った判断はできない」とした上で「私の立場では退席できないので、きちんと判断した」と強調した。
中山義隆市長は「議会が条例案を否決したので住民投票は実施できない。議会の判断は尊重すべきだ」と語った。
今回の住民投票条例案は、地方自治法に基づき、市民が有権者の署名を集めて制定を直接請求した石垣市初のケースだった。