【視点】「重点措置」適用 正念場の沖縄

 沖縄で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況を受け、政府が「まん延防止等重点措置」を適用する方針を決めた。本島中南部を中心に襲来している「第4波」は、現状のままだと過去最大の「波」になりかねず、緊急事態宣言に至る手前で食い止められるかが正念場を迎える。
 「重点措置」は2月13日施行の改正特別措置法で新設された。市区町村単位などに範囲を絞り、対策を実施できる。感染状況や医療への負荷を考慮し、専門家で構成する基本的対処方針分科会の意見も踏まえた上で、首相が対象地域や期間を決定する。
 知事は飲食店への営業時短要請などができ、正当な理由なく応じない場合は命令を出せる。命令に応じなければ20万円以下の過料を科すことができる。罰則を背景にした強制力で感染抑え込みを図ることができる一方、飲食店などの経済的打撃も予想される。
 玉城デニー知事は「重点措置」適用による経済への影響を懸念する姿勢が鮮明だった。7日の記者会見では、現在の時短要請の効果を見極めるとして、すぐには「重点措置」の適用を要請しない方針を明言していた。
 しかし8日、政府から適用の検討を促されると、一転して適用を要請する方針を決めた。ドタバタ劇というほかない。
 県内で新型コロナの感染拡大が始まって1年が経過した。感染拡大に歯止めがきかなくなってから緊急事態宣言を出し、状況が落ち着いたからと解除すると、たちまち「リバウンド」が始まる悪循環の繰り返しだ。いまだに県の対応は腰が定まらない印象を受ける。7日の会見では知事自身が「この状況を抜本的に見直す必要がある」と指摘した。
 しかも沖縄の感染者数は人口比で計算すると、常に全国でも最悪レベルだ。観光客が多いことが感染拡大の要因に挙げられることが多いが、全国の観光地は沖縄だけではない。
 沖縄の状況が深刻化する理由について、県の感染予防対策のあり方や県民のライフスタイルも含め、徹底的に検証する必要がある。
 八重山では感染者ゼロがしばらく続いてきたが、ここへ来て再び感染者増加の兆しが見えてきた。
 過去3回の「波」が最終的には八重山にも襲来した経験を振り返れば、離島といえども「第4波」とは無縁でいられない。これから感染者が増えることはある程度、覚悟する必要があるかも知れない。
 八重山では、石垣市が独自に購入したPCR検査機器を活用し、発生初期段階の徹底した検査で、感染拡大の芽をつぶすという戦略が確立されている。
 「第4波」にも同じ戦略で臨むほかないが、クラスター(感染者集団)が発生すると検査が追いつかなくなる恐れがある。今は住民も大人数の飲み会や模合を控えるなど、慎重な行動が必要な時期だ。
 県は現在、那覇空港で実施している任意のPCR検査を、本土直行便が往来している宮古や石垣の空港にも広げる方針を示した。
 3月下旬時点で、那覇空港での検査数は1日当たり百数十件程度、陽性確認は1週間で2件程度となっている。これではあまりに少なく、県議会では「水際対策として機能しているのか」という声も上がっている。
 離島空港でも実施するのはいいが、より検査数を増やす方向で、やり方を工夫する必要がありそうだ。

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