【視点】慰霊の日 平和のため何をすべきか

 沖縄戦の終結からきょう23日で76年。島々が鎮魂の思いに包まれる「慰霊の日」が今年も巡ってきた。
 沖縄本島では熾烈な地上戦が行われ、多くの住民が犠牲になった。八重山でもマラリア有病地帯に疎開した3000人余の住民が無念の死を遂げた。
 戦没者は日米双方で20万人超とされる。「慰霊の日」は二度と同様の悲劇を繰り返してはならないという決意を新たにする日でもある。
 沖縄戦を振り返る時、沖縄本島も八重山も戦没者を悼む思いは同じだが、現在の地点からは、やや異なった風景が見えるのも事実だ。
 戦後も沖縄本島には膨大な米軍基地が残され、米軍関連の事件・事故がいまだに最大の社会問題とされている。「慰霊の日」に合わせて開かれる県主催の戦没者追悼式では、知事が必ず基地問題に言及し、基地の整理縮小を訴える。
 悲惨な沖縄戦の歴史に焦点が当てられ、あらゆる軍事力を否定するような考え方に傾きがちな風潮になる。
 八重山には米軍基地はないが、近年、尖閣諸島問題が住民の安全保障を揺るがす懸念事項として浮上している。
 「慰霊の日」前日の22日も、中国海警局の船が尖閣周辺で領海侵入し、操業中の地元漁船を執拗に追尾している現実がある。一定の軍事力や抑止力なくして住民の安全は守られないことを、八重山の現実は示している。
 残念ながら沖縄本島では尖閣問題に対する関心は薄い。だが、八重山にとって隣国の軍事大国は切実な脅威になりつつある。県民は沖縄を取り巻く厳しい国際環境に関し、新たな認識を共有し、隣国の侵略を許さないために何をすべきか考えたい。
 石垣市議会では、子どもたちの平和教育で尖閣諸島問題を取り上げてはどうかという提言が出ている。悲惨な沖縄戦の歴史だけを強調するのではなく、八重山が今、何に直面しているのかを考えさせるのも大事であり、新たな平和教育の在り方を模索する前向きな動きである。
 子どもたちの平和教育だけでなく、県民の沖縄戦に対する認識にも改めるべき点がある。一般的に沖縄戦は1945年3月26日、米軍が慶良間諸島に上陸して始まったとされる。
 しかし実際には米軍の上陸直前、石垣島から飛来した島出身の軍人、伊舍堂用久大尉(戦死後、中佐に特進)率いる特攻隊が海上で攻撃を加えている。
 沖縄戦は伊舍堂大尉らの特攻で始まったという認識を持つべきではないか。郷土の先人が忘れ去られているような現状は残念だ。
 今年もコロナ禍の中での「慰霊の日」となり、式典は規模を縮小して行われる。県民の関心も戦争や平和といった問題より、目の前の生活をどうするかに集中しているのかも知れない。落ち着いて「慰霊の日」を迎えることができる日が早期に到来することを願いたい。

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