石垣市が平久保半島東海岸で整備を進めてきた「エコロード事業」が完了し、整備後の道路ではドライブで楽しむ市民の姿が多く見られるようになった。市によると、エコロードは自然環境を保全する環境共生型道路のため道幅が狭く、通行する場合は対向車や動物に注意する必要がある。
同事業で整備した明石から平野までの約10㌔の範囲は、西表石垣国立公園に指定されている。自然環境や動植物、文化資源などを保全する目的でアスファルト舗装は施しておらず、河川以外は排水構造物を設置していない。
可能な限り自然に近い状態にするため施行範囲を縮小。道幅が狭いため、対向車両には注意が必要になる。都市建設課道路整備係の前底伸希係長は「特に車両のすれ違いが困難な場所には待避所を設けているが、基本的に㌔程度での走行が安全」と呼び掛けた。
市によると、牛などの動物が道路に出た場合は車内から出ずに、動物が立ち去るのを待つのが望ましい。道沿いに生える草木もむやみに伐採することができないため、車の傷には個人で気を付ける必要があるという。
エコロードには牧場で飼育されている動物の脱走を防ぐため2カ所の柵を設置しているが、利用者が開けて通行することが可能で、利用後は必ず閉めるよう求めている。整備は環境省の指導のもと「国立公園区域の道路整備方針」に従って行われている。
エコロードの範囲は当初、牧場経営者が利用したり石垣島オーシャンビュートレイルラン・ウォーキングのコースとして活用されてきたが、今後の観光や環境学習の資源として活用するため、市が2015年に整備を開始、ことし3月末に完成した。総事業費は1億8500万円。
平久保半島ではヤエヤマオオコオモリやアカボウズハゼ、ヤエヤマラセイタソウなどの希少な動植物が生息している。
現在伊原間~明石間は整備されていないが、今後は畜産担い手育成総合整備事業による草地造成や土地改良事業による畑地かんがい施設整備に合わせて進める予定だという。