石垣市の新庁舎落成式が12日、完成したばかりの新庁舎で開かれ、伝統的な獅子による厄払いや婦人会の踊りなど、郷土色豊かなイベントが繰り広げられた。中山義隆市長は「建物に新たな魂を注ぎこまないといけない。きめ細やかな市民サービスと効率的な行政運営に、職員と一丸となって取り組む」と決意表明した。
オープニングセレモニーでは石垣第二中吹奏楽・マーチングバンド部が華やかに演奏。市出身の書家、茅原南龍氏が揮毫(きごう)した新庁舎の銘石、銘板が中山市長や茅原氏によって除幕された。真栄里伝統芸能獅子保存会の獅子がにぎやかに厄払いした。
伝統的な着物に身を包んだ婦人会メンバーが歓喜の舞いを披露し、女性たちの明るい掛け声が周辺に響き渡った。
建物の四方で行う石垣島の伝統的な新築祝い「結(ゆい)いぴとぅんがなし」に続き、市職員が古謡を唄った。落成式の座開きでは八重山民俗舞踊保存会、八重山古典音楽協会、八重山古典民謡保存会が「鷲ぬ鳥節」を披露した。
玉城デニー知事(代読・宮城力県企画部長)、平良秀之市議会議長、八重山市町会副会長の西大舛高旬竹富町長が来賓祝辞を述べた。
中山市長は、茅原氏、新庁舎の設計を手掛けた隈研吾氏、建設業者ら24人に感謝状を贈呈した。隈氏は「こんな華やかで楽しい竣工式は初めて。コロナ後の新しい時代の象徴として、日本中、世界中から注目を浴びる建物に仕上がったと思う」と強調した。
茅原氏は銘石や銘板について「書の道をどう表現すればいいか試行錯誤し、あの文字が生まれた」と解説した。
新庁舎は地上3階、地下1階。敷地面積3万159平方㍍、延べ床面積1万3921平方㍍で、それぞれ旧庁舎の3倍と2倍。「みんなが集う石垣市のランドマーク」を基本理念に建設された。
12万枚の赤瓦を配した50の屋根が折り重なる特徴的な外観で、石垣島の伝統的な家屋をイメージ。1階のエントランスは3階までの吹き抜けで「市民広場」のスペースを設けた。総合窓口にはタッチパネルの案内もある。
津波被害に強い高台の旧石垣空港跡地に建設され、非常電源や備蓄倉庫もあり、災害時の防災拠点としての機能も持つ。一般駐車場は231台(優先スペース5台)、一般駐輪場約100台。
旧庁舎での業務はこの日で終了した。新庁舎での業務は週明けの15日から始まる。