石垣市議会の市役所新庁舎建設工事請負契約に関する調査特別委員会(百条委員会、花谷史郎委員長)の第4回会合が12日、市役所で開かれた。新庁舎屋根の赤瓦に県外産が使用されることを中山義隆市長がいつ知ったのか確認するため、次回、市長を証人喚問する方針を賛成多数で決めた。新庁舎建設の新旧担当者との質疑では、赤瓦をすべて県外産とする方針は建物建設を受注したJV(企業共同体)の中心である大成建設が決め、市が承認していたことが分かった。
この日は新庁舎建設の前担当課長である大城智一朗環境課長(前新庁舎建設室長)、現担当課長の野崎雅治契約管財課長らから県外産赤瓦使用の経緯を聞いた。
野崎課長は、建物を受注した大成建設が2020年9月に提出した施工計画書で、すべての赤瓦が愛知県産であることを初めて把握したと明らかにした。施工計画書を承認した際「市長には報告していない」とも述べた。
愛知県産を使用する理由について大成建設からは、工期に間に合わせるためとの説明を受けたという。
大城課長は、新開発の赤瓦使用を提案した隈研吾事務所などに対し「できる限り県内産で焼きたい」との考えを伝えてきたと説明した。隈氏と共に赤瓦開発に関わった茨城県の業者から、沖縄での製造は可能という確認も取っていたという。
異動後に県外産の使用を聞いたが「恐らく、それなりの理由で変更されたと思っていた」と述べた。
新庁舎の特記仕様書では、赤瓦は県内産を使用すると明記。このため野崎課長への引き継ぎに当たり、特に赤瓦の産地に関する申し合わせはなかった。
野党の内原英聡氏は「非常に心配になった。(県外産の赤瓦が使用されたことが)一課長の責任になってしまう。中山市長を呼んでほしい」と要求。与党は大成建設の担当者らを先に呼ぶよう求めたが、採決で市長の証人喚問が決まった。
砥板芳行氏は「市が県産赤瓦にこだわった形跡が全く見えない」と批判。宮良操氏は、新旧担当課長の説明内容について「これまでの議会答弁では全く説明されていない」と疑問を呈した。
次回会合は来週以降に開く予定で、市長と日程調整する。その後、大成建設の担当者と茨城県の業者を呼ぶ方針も確認した。
野崎課長は百条委閉会後の取材に対し、県外産赤瓦を使用する大成建設側の施工計画書を承認した際、中山市長に報告しなかった理由について「資材の承認は課長決裁であるため」と説明した。
百条委の証人喚問には強制力があり、正当な理由のない証言拒否や虚偽の証言に対しては地方自治法で罰則が設けられている。