平和・安全保障研究所(德地秀士理事長)は5日午後、沖縄安全保障シンポジウム「台湾海峡の緊張と平和の安全保障」を那覇市内で開催した。自衛隊前統合幕僚長の河野克俊氏は「経済が発展した中国が海洋に進出するのは必然」との見方を示し、沖縄を含む日本列島と台湾が障害となるが、「沖縄占領はできるならやりたいと思っている」と分析した。
中国が沖縄本島と先島諸島を同時に攻撃する可能性について河野氏は「中国の戦況判断次第」と述べつつ、1980年代に起こったフォークランド紛争を例に挙げ、周辺でも戦闘し被害が大きかったとして「台湾を巡って激しい戦闘になる」と強調した。石垣市の中山義隆市長再選にも触れ、陸上自衛隊の配備計画が進むと歓迎。「日本列島が最前線だ。沖縄だけに負担を負わしてはいけない」とも指摘した。
河野氏は南西諸島や台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」と小笠原諸島からグアムを通る「第2列島線」の間で中国は米艦隊を迎撃すると分析。「中国は中距離ミサイルでここを狙う」と述べた。米軍は同地域に中距離ミサイルを配置できていないため「米国は非常に懸念している」と紹介した。
さらに中国は条件が揃った場合、台湾併合を実行するとし、日本は米国と協力し「台湾併合できない軍事バランスを構築するべき」と訴えた。
核保有国が同盟国と核兵器を共有する「核シェアリング」については「西ドイツはやった。日本も議論すべき」と指摘した。