新型コロナウイルス対策で石垣市が購入したPCR検査機器が、かりゆし病院(境田康二院長)に無償貸与され、21日、本格稼働した。市内で採取した検体は従来、沖縄本島に輸送され、結果判明まで2日ほど要していたが、今後は同病院の検査機器が使われる予定で、検査結果が即日判明する。境田院長は「(感染者が出た場合)早期にPCR検査を行い、行動自粛を呼び掛けながら濃厚接触者を洗い出し、早期に抑え込む」と述べ、島内での感染拡大阻止に決意を示した。
PCR検査機器は5月に市が購入し、県立八重山病院に無償貸与していた。ただ県の判断による行政検査で検体が採取された場合、基本的には沖縄本島の検査機関に輸送し、八重山病院では緊急性があると判断された検体だけを検査する運用態勢だった。
市は今月1日、PCR検査機器をかりゆし病院に移動。運用も、市の相談外来を経て採取された検体は、基本的にかりゆし病院で即日検査する態勢に改めることにした。
かりゆし病院の検査技師は4人だが、PCR検査機器に習熟しているのは1人で、当面は1日最大20検体ほどの処理能力を目標に運用する。
県の判断で実施する検査であっても、市の検査機器を使用した検査は行政検査にならないため、かりゆし病院での検査は、保険診療検査扱いになる。
保険診療検査の場合、検査を受けた人に3割の自己負担が生じる。だが市は今月、医師から検査の必要性を認められた市民を対象に、5000円を上限にPCR検査などの費用を助成する制度をスタートさせた。財源は国の地方創生臨時交付金。PCR検査の自己負担は通常、5000円を超えることはないため、事実上、保険診療検査の場合でも、市民の自己負担はなくなる。
今後、市の相談外来で検査が必要な人が出た場合、クラスター(感染者集団)発生などで一度に大人数の検査が必要になるケースを除き、かりゆし病院で検査を実施。通常であれば2時間程度で検査結果が判明する流れになる。
八重山病院でも従来ある機器でPCR検査は引き続き可能だが、検査キットの不足で運用が厳しく、緊急時以外は検査を行わない方針。徳洲会病院もPCR検査機器を所有しているが、検査能力に限界があるという。
県は各県立病院に新たなPCR検査機器を設置する方針だが、八重山病院は現時点で設置しておらず、設置時期は「調整中」としている。