竹富町は、西表島大原で新庁舎と共に計画されている多機能複合施設の整備計画を見直す方針を固めた。併設予定の施設のうち、世界遺産センターは整備続行、博物館は規模縮小、町民ホールは整備中止の方向で検討する。新庁舎の建設予定地も多機能複合施設の隣に変更する。担当課は5日の町議会一般質問で計画見直しの具体的な内容に言及しなかったが、前泊正人町長は「適正な規模に見直し、年内に素案を示せるよう進めていく」と述べた。
町が4月に示した整備計画では、世界遺産センター(930平方㍍)、博物館(2280平方㍍)、町民ホール(845平方㍍)を併設した多機能複合施設を町離島振興総合センター北側に整備することになっていた。合計面積は計4055平方㍍。事業費は約54億円で、国の8割補助を見込んだ。
だが同月の町長選で整備計画の見直しを訴えた前泊氏が当選。町は町役場新庁舎整備等に関する検討委員会(委員長・大浜知司副町長、委員19人)を8月に開き、新町長の方針に沿って整備計画を練り直した。
世界自然遺産センターは事業費約10億円で、沖縄振興特定事業推進費による補助が決定しており、現行計画の通り整備する方向。
併設する博物館は現行計画では事業費約32億円で、一括交付金を活用する。町は展示方法を見直す考えで、規模を縮小する可能性が高い。
町民ホールは事業費約12億円で、同様に一括交付金の活用を見込んだが、整備を中止する。
新庁舎は町離島振興総合センター敷地内で多機能複合施設と同時に整備を予定していたが、建設予定地を世界遺産センターの隣接地に変更する。
町は見直し案がまとまれば、町民説明会で周知と意見聴取を行う考え。
新庁舎について5日の町議会一般質問で町政策推進課の小濱啓由課長は、活用する予定の国の緊急・減災防災事業債の期限が迫っていることを挙げ「令和7(2025)年度までには設計施工ができるようにしたい」と述べた。防災機能を備えた庁舎になると同時に「行政と関係のある団体が入る可能性もある」と報告した。
町議会で新庁舎の進ちょく状況をただした山盛力氏は「多くの町民が大原庁舎を待ち望んでいる。民意を尊重し、スピード感をもって進めてほしい」と強く求めた。