国の重要無形民俗文化財で600年以上の歴史があるとされる竹富島最大の祭「種子取祭(タナドゥイ)」の奉納芸能が4日、世持御嶽の特設会場で始まった。コロナ禍により3年ぶりに開催。感染防止対策のため、奉納芸能は島民のみで行われた。種子取祭で大勢が参加し、列になって行われる「庭の芸能」を取りやめるなど、規模を縮小して開催された。
この日は午前9時、ミルク起こしの儀式から始まり、正午からは玻座真村による奉納芸能がスタートした。奉納芸能では豊年と島の繁栄を願い、舞踊狂言(ブドゥイキョンギン)が復活。五穀豊穣の神が子ども達を引き連れて登場する「ミルク」から奉納された。
その後も竹富島の農具の伝来を示し、鍬を打つ「鍛冶工(ガザグ)」、畑に種子をまく「世持(ユームチ)」などの狂言迫力いっぱいに演じられ、「八重山上り口説」、「元たらくじ」、「しきま盆」、「種子取節」など多彩な舞踊が奉納された。
竹富公民館の内盛正聖館長は「天気にも恵まれて3年ぶりに開催でき、神事のみだった昨年と比べて一歩前進。祭が一人ひとりの気持ちを一つにする役割もあるので開催できたことは大変うれしく思う。来年さらに多くの奉納ができれば」と述べた。
奉納芸能後は各家々をまわるユークイの行事が感染症対策に留意しながら行われた。5日は仲筋集落を中心に舞踊狂言が奉納される。
種子取祭は、種をまき、無事に育つことを祈願する行事で、旧暦の9月か10月の庚寅(かのえとら)、辛卯(かのとう)の2日間(新暦の10~11月頃)を中心に行われ、本来であれば80余りの伝統芸能が神々に奉納される。通常の開催時には島を離れた人々も里帰りして祭りに参加し、島の店は臨時休業になるなど大勢の人で島は祭り一色となる。