現ヘリポート継続「承服できず」 周辺の土地利用など懸念

八重山病院に隣接する暫定ヘリポートの供用開始に合わせて行われた急患輸送ヘリ到着のデモンストレーション=2020年11月11日

 離島からの急患搬送ヘリが発着する新たなヘリポートの整備を巡り、石垣市の中山義隆市長は11日、県立八重山病院に隣接する現ヘリポートの継続使用について「承服できない」と強調した。周辺の土地利用や市内の急患搬送に影響が出ることが理由で、市は県に対し、八重山病院敷地内で高さをかさ上げするタイプのヘリポートを整備するよう求めている。

 新たなヘリポート整備は市議会一般質問で長浜信夫氏が取り上げた。市は2024年度から旧空港跡地に区画整理事業を導入する計画だが、現ヘリポートの使用を継続した場合、周辺の土地利用に影響が出るため、県と対応策の協議に入っている。
 知念永一郎建設部長の答弁によると、県は市に対し、ヘリポートのあり方について➀病院敷地内でのかさ上げ型➁現ヘリポートかさ上げ型➂現ヘリポート恒久化―の3案を提示。周辺の土地利用への影響は、現ヘリポートを恒久化した場合約5・5㌶、かさ上げ型だと約1・5㌶になる。具体的な影響としては周辺の建物の高さ制限、立ち入り禁止エリア設定、地区内幹線道路の分断などを挙げた。
 現ヘリポートを恒久化したり、かさ上げする場合のデメリットについて中山市長は、市消防の救急車が八重山病院に急患を搬送するため待機しなければならないことを挙げ「市内の急患搬送に支障が出ている」と指摘。
 その上で「八重山病院の敷地内にヘリポートがあれば救急車が出動する必要がないので、市民の安心安全につながり、(離島からの)急患搬送もそのほうが効率的だ」と述べた。
 災害時のヘリ発着場としては、市が市役所に隣接して整備する防災公園や陸上競技場を活用する考えを示した。知念部長は、防災公園を陸上自衛隊の大型ヘリCH47が発着可能な規模で整備すると報告した。
 9月に県が開いたヘリポート設置に関する協議会でも、市は県に病院敷地内でのかさ上げ型整備を要請した。
 一方、長浜氏は八重山病院側が医師、看護師の安全面の不安や騒音問題を訴えていることを挙げ「地上型(現ヘリポート)が誰の目にも安全で優位性がある」と現ヘリポート恒久化を主張。土地利用への影響回避に関しては「市が配慮して、まちづくりの計画に取り組めばできる」と訴えた。
 知念部長は医師、看護師の安全確保や騒音問題について、ヘリポート設置の事業主体である県が対応すべきとの考えを示した。
 離島からの急患搬送は、海上保安庁が実施している。

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