石垣市の中山義隆市長は12日、与那国島などで行われた日米共同統合演習「キーン・ソード23」(11月10日~19日)に関し、台湾有事を想定した訓練との認識を示した上で、今後、同様の訓練が石垣島で計画された場合は容認する考えを示した。市議会で野党の一般質問に答え「基本的には島を守る訓練。市民の安全、国全体の安全保障、東アジア・太平洋の安全を守るため、戦争を起こさないために、必要なものは理解していきたい」と強調した。
野党の長浜信夫氏は「与那国島より規模の大きい訓練が石垣島で実施される可能性がある。与那国での訓練のように戦闘車両が持ち込まれた場合、どのように対応するのか」とただした。
中山市長は、八重山と台湾の距離が近いことを説明し「好むと好まざるとにかかわらず、私たちの島はいざ台湾有事が起こった際、何らかの影響がある。自衛隊の駐屯地があるなしにかかわらず、日米安保を想定した訓練は行われてしかるべきだ」と述べた。
長浜氏は「基地と共に島が標的にされる。過去の沖縄戦の二の舞だ。住民の命や財産を脅かす訓練をさせない姿勢こそ求められる」と市長を批判。「日本の貿易相手は中国が一位で、戦争すると日本経済は崩壊する。抑止力、抑止力と勇ましく騒ぎ立てるが、経済がどうなるのか論じようとしない」と抑止力強化に疑問を呈した。
中山市長は「訓練を認めるなという話になると、市長として市民の命を守る業務を放棄することになる」と述べ、長浜氏と応酬。「中国と事を構えれば経済がズタズタになるというが、いつ日本が中国を攻める準備をしたのか。石垣、与那国の陸自配備は中国を攻めるための配備ではなく、攻められたときに守るための配備だ」と指摘した。
平和外交を訴える長浜氏に対し「外交で解決すべきと言うのであれば、長浜議員としてどのような外交をして中国の拡大を止めるのか、述べていただければ議論が深まる」と反問。「『自分たちさえ守られれば国全体のことは関係ない』『隣の友好地域の台湾も関係ない』と言っているのが議員の考えだと認識している」と語気を強めた。
長浜氏は「市長は他人に責任をなすりつけるような話をしている」と不快感を示し「私は平和を求めている。基地ありきではなく、別の方法を模索することを提案してきた」と訴えた。