公用車シェア 議決必要か 市が陳謝「点検作業中」 野党「執行能力疑う」と批判

石垣市における移動課題解決と間接人口創出に関する包括連携協定を締結した=11月26日、石垣市役所

 石垣市が株式会社DeNA SOMPO Mobility(ディー・エヌ・エーソンポモビリティ、本社東京都)と包括連携協定を結び、今月から開始する予定だった公用車のシェア(貸し出し)に関し、事前に条例制定など、議会の議決が必要になる可能性があることが分かった。市は協定締結後に法的な点検作業を進めており、公用車貸し出しは延期した。16日の市議会一般質問で小切間元樹企画部長は「議会に疑念を抱かせたことは反省している」と陳謝した。

 市は11月29日、同社と包括連携協定を締結。12月3日から同社のカーシェアリングサービス「エニカ」のアプリを通じ、土・日・祝祭日に車両2台を24時間6200円と2900円で貸し出すと発表した。
 市によると、公用車の無償貸し出しは既存の規定の範囲内で可能。だが今回のケースでは使用料の歳入や、同社に支払う手数料の歳出が発生するため、対応する条例制定や予算編成が必要になる可能性がある。条例、予算とも議会の議決を経ないと成立しない。
 同社のシステムを利用した公用車の「共同使用」は、他自治体を含め過去に例がなく、法的にどう位置付けるか精査が必要だという。
 市は公用車2台についてアプリ上の登録は済ませたものの、一般からは閲覧できない状態。3日に予定していた貸し出し開始は見送った。
 一般質問で宮良操氏は「議会を通すべきものを通さず、議決もしないものが供用開始されると、石垣市の事務執行能力を疑わざるを得ない。十分に反省してほしい」と批判した。
 小切間企画部長は「(共同使用が)条例上、大丈夫かという最終チェックをやっていたところで疑念が生じ、点検作業を念入りに行っている」と説明。「条例などが必要であれば上程する。丁寧に説明したい」と述べた。
 中山義隆市長は「必要な手続きが整えば実施したい。議会を無視して進めようとしたわけではない」と理解を求めた。
 市によると、市内では新型コロナウイルス感染が落ち着き、観光客が増加する一方、レンタカーやタクシーなど移動手段の不足が顕著。このため市は「エニカ」を利用したカーシェアを市内で普及させる狙いもあり、公用車の貸し出し方針を決めた。

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