石垣市が株式会社DeNA SOMPO Mobility(ディー・エヌ・エーソンポモビリティ、本社東京都)と包括連携協定を結び、今月から開始する予定だった公用車のシェア(貸し出し)に関し、事前に条例制定など、議会の議決が必要になる可能性があることが分かった。市は協定締結後に法的な点検作業を進めており、公用車貸し出しは延期した。16日の市議会一般質問で小切間元樹企画部長は「議会に疑念を抱かせたことは反省している」と陳謝した。
市は11月29日、同社と包括連携協定を締結。12月3日から同社のカーシェアリングサービス「エニカ」のアプリを通じ、土・日・祝祭日に車両2台を24時間6200円と2900円で貸し出すと発表した。
市によると、公用車の無償貸し出しは既存の規定の範囲内で可能。だが今回のケースでは使用料の歳入や、同社に支払う手数料の歳出が発生するため、対応する条例制定や予算編成が必要になる可能性がある。条例、予算とも議会の議決を経ないと成立しない。
同社のシステムを利用した公用車の「共同使用」は、他自治体を含め過去に例がなく、法的にどう位置付けるか精査が必要だという。
市は公用車2台についてアプリ上の登録は済ませたものの、一般からは閲覧できない状態。3日に予定していた貸し出し開始は見送った。
一般質問で宮良操氏は「議会を通すべきものを通さず、議決もしないものが供用開始されると、石垣市の事務執行能力を疑わざるを得ない。十分に反省してほしい」と批判した。
小切間企画部長は「(共同使用が)条例上、大丈夫かという最終チェックをやっていたところで疑念が生じ、点検作業を念入りに行っている」と説明。「条例などが必要であれば上程する。丁寧に説明したい」と述べた。
中山義隆市長は「必要な手続きが整えば実施したい。議会を無視して進めようとしたわけではない」と理解を求めた。
市によると、市内では新型コロナウイルス感染が落ち着き、観光客が増加する一方、レンタカーやタクシーなど移動手段の不足が顕著。このため市は「エニカ」を利用したカーシェアを市内で普及させる狙いもあり、公用車の貸し出し方針を決めた。