「八重山群島の住民保護計画~周辺有事に備えて~」をテーマにしたシンポジウム(主催・八重山日報社、共催・八重山市町会)が18日、石垣市内のホテルで開かれ、八重山3市町の首長や有識者が登壇した。台湾有事などの勃発に備え、台湾に近い八重山の離島住民が早期に島外避難するための体制構築を訴えた。沖縄戦の教訓を念頭に、戦時に島内で自衛隊と住民が混在する状況を回避すべきとの意見も出た。
3市町長がそろって求めたのは、空港の滑走路延長や港湾整備。石垣市の中山義隆市長は「島外避難が最優先。住民避難の観点からも空港の整備が急がれる」と指摘した。
現状で住民、観光客6~7万人を県外に避難させるため、空路の場合、石垣空港を24時間体制で稼働させれば航空機が1日で約120便運航し、約1万8000人が避難可能と試算した。
竹富町の前泊正人町長は、町民の一時避難先は石垣市とした上で「竹富町は船舶が唯一の交通手段。西表島では白浜港や船浦港のように、しっかり活用できていない港湾もある。日本最南端の波照間島は欠航率が高い」と懸念した。
糸数健一町長は「軍民混在」で多大な犠牲者が出た沖縄戦に言及し「軍人と民間人が、ごちゃごちゃになる状況はつくるべきではない」と強調。「一夜にして町民と実力部隊が入れ替わるような体制」のためにインフラ整備が必要とした。
元陸上幕僚長の岩田清文氏は、国、県、自治体が3月に離島住民の避難を想定した図上訓練を行うことに触れ「シミュレーションが一番大事で、問題点をあぶり出して政策に反映する」と提言。
コーディネータを務めた産経新聞の有元隆志正論調査室長は「八重山が好むと好まざるとにかかわらず、台湾有事は日本有事になる」と述べ、住民に対し、改めて現実を認識するよう訴えた。
シンポジウムには約350人が参加した。