石垣市議会の「国民保護計画等有事に関する調査特別委員会」(花谷史郎委員長)は11日、市役所議員協議会室で会合を開き、有事への対応に関して市防災危機管理課から報告を受けた。同課の担当者は、国民保護計画を住民に周知させることが当面の課題との認識を示した。
政府が武力攻撃予測事態を認定した場合、住民の避難措置を指示し、それを受けて県が住民に避難を指示する。石垣島内での避難誘導は市が担当し、住民は航空機や船舶で九州に向かう。3月17日には国、県、宮古、八重山などの担当者が参加した県主催の国民保護計画図上訓練が実施された。
訓練に参加した同課の真栄田義史係長は、有事の際、空港への自家用車乗り入れが規制されることを例に挙げ「島内の円滑な避難のためにバス移動を考えている。国は早期の避難完了を求めているので、住民への周知ができているかが課題」と指摘。避難の円滑化に向け、国民保護計画を住民に浸透させる必要があるとの考えを示した。
花谷委員長は「石垣市には農業者が多く、牛やヤギを飼っている人が、全く何も起きていない状態で農場を捨てて避難するかと言われると、非常に懐疑的だ」と指摘。避難した住民に対する財産補償の有無をただした。
同課の具志堅広一課長は「今のところ、補償は確立されていない」と回答。避難を拒否する住民が出た場合の対応に関しては「避難の無理強いはできない。どう安全を担保するかが課題になる」と述べるにとどめた。
野党の内原英聡氏は「避難計画は不可能。防災減災を優先すべきだ」と述べ、国民保護計画の実効性を疑問視。市の大濵武防災アドバイザーは、防災計画は国民保護計画に応用可能だとして「両方を充実することが大事だ」と応じた。
野党の砥板芳行氏は、住民の避難先が九州とされていることについて「九州には陸・海・空自衛隊の本拠地がある。武力攻撃の恐れがないという前提はどうなのか」と危ぐ。具志堅課長は「あくまで想定であり、避難先は変更になる可能性がある」と応じた。
次回会合は来月開かれ、国民保護計画の内容について担当者から説明を受ける予定。