石垣市は22日夜、初の夜間防災訓練を実施した。これまで国内で発生した大規模災害のうち、1995年の阪神淡路大震災、2016年の熊本地震はいずれも夜間、早朝に発生したことを踏まえ、いつ緊急事態が起きても対応できるよう企画された。市民約1838人が参加した(速報値)。
訓練は午後8時、石垣島南方沖を震源とする震度6弱の地震が発生し、3分後に八重山地方に「大津波警報」が発令された想定で実施。全国瞬時警報システム(Jアラート)、エリアメール等で災害発生を伝え、避難をうながした。
消防団など自主防災組織が主体となり、各地域単位で一時避難所に指定されている体育館などの施設に避難。
真栄里、平得などの地区住民を対象とした避難所に指定された市役所には、懐中電灯や携帯電話のライトを頼りに大勢の市民が訪れた。実際に災害が起こった際と同様に、名簿に氏名等を書き入れ、市に報告する一連の流れを体験した。
家族3人で避難した新城優太さん(32)=平得=は「良い経験になった。日中(の訓練)と交互に実施してほしい」と要望。男性(10代)は「外は暗かった。以前、訓練に参加した時は明るい時間帯だったので、今回は怖い。電灯を用意しておく」と話した。
庁議室では、中山義隆市長をはじめ市職員が状況を確認。各地からの報告をもとに、モニターに避難している市民の人数がリアルタイムで映し出された。
訓練は約1時間半で終了。中山市長は「これまでの災害は、夜間に発生したものも多く、訓練の意義は大きい。自主防災組織との連携を確認できたのも良かった」と評価した。防災危機管理課の具志堅広一課長は「白保、大浜など津波被害が予想される地点は多い。有事の際の行動を確認しておく必要がある」と指摘。市民の防災意識向上に意欲を示した。
防災訓練は、有事の際の対応の確認などを目的に、毎年実施されている。2022年は2205人が参加した。