沖縄領有権、問題化の布石? 習氏発言に波紋広がる 知事、交流意欲と受け止め

 中国の習近平国家主席が沖縄と中国の関係について発言したと4日付の共産党機関紙「人民日報」が1面で報じ、波紋が広がっている。習氏発言に対し玉城デニー知事は8日の記者会見で「(中国と沖縄の)交流や歴史について、かなり深い見識をお持ちだと受けている」と評価。一方、香港紙「星島日報」は「習氏は中国と沖縄の淵源を強調した」と指摘し、台湾有事を念頭に、今後、中国が沖縄の領有権が日本にあるか問題化する布石であるとの見方を示した。

 人民日報は、習氏が1日「中国国家版本館中央総館」を視察した際の様子を報じた。同館の解説員が習氏に対し、尖閣諸島(石垣市)が中国領であることを証明する文献が館内に所蔵されていると報告した。
 沖縄県の翻訳によると、習氏は「私が福州に務めていたとき、福州には琉球館と琉球人墓があり、福州と琉球の縁が深いことを知っています。福健出身の三十六姓の人々が昔、琉球に移住したことも知っています」と述べたという。尖閣に関して言及したとの報道はなかった。習氏が公的な場で沖縄に言及したのは初めてと見られる。
 記者会見で習氏発言について感想を問われた玉城知事は「習主席は福建省の省長を務められた経験を踏まえ、福建省と沖縄との交流の歴史に言及されるとともに、今後の交流発展に意欲を示されたものと受け止めている」と述べた。
 7月には県独自の「外交」の一環として訪中を予定する。「県としても、沖縄と中国の長く深い交流の歴史をこれからも温めていくことが交流発展の起点になると考えている。そのような経済復興を見据えた環境や交流も、どんどん展開していきたい」と中国との交流促進に意欲を示した。
 一方、8日付「星島日報」(電子版)は「習氏が琉球に異例の言及」と題した記事を掲載。沖縄はかつて独立していたが、中国の属国だったと紹介した。習氏の発言は、中国と沖縄の関係の「淵源」を明らかにする意図だったとの解釈も示した。
 その上で「台湾有事は日本有事」という日本国内の主張に対し、中国側が「米国の覇権と日本の右翼に対抗するため」沖縄の地位の問題を再び提起すべきと反論している、と記した。日本が台湾問題に介入した場合、対抗措置として、中国が沖縄の日本領有権を疑問視する可能性があるとの見方だ。
 ただ「これは沖縄の自決を支持するためで、中国が沖縄を支配するためではない」とした。中国政府が当面、沖縄の主権を問題視するかも明らかではないと結んだ。

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