玉城デニー知事が政府、官邸から冷遇されているという。安保3文書に示された反撃能力の沖縄県への配備反対を訴える要望書を持って上京したが、対応したのが外務省、防衛省の副大臣だったからだ。確かに、話題にならず、失礼がない程度に、という政府側の考えが透けて見えてくる▼ふと気になって、5月30日の岸田文雄首相の動静を振り返ってみた。その日、知事は官邸を訪れ、首相にかりゆしウエアをプレゼントした。午後2時21分から29分までの8分間が記録されていた。8分間が長いのか、短いのか判断できないが、この直前、衆院選挙区の候補者調整を巡って、連立崩壊の危機にあった公明党と党首会談が行われていたことを考えれば、首相はお疲れだったのだろう。だが、午前中に、鳥取県知事が同席したスイカの贈呈は午前11時11分から26分までの15分間が充てられていた。かりゆしウエアとスイカ。くらべようないが、費やした時間の違いが、その場の空気感を伝えているように思えてならない▼知事は、7月、地域外交を掲げて訪中する計画だ。高官との会談を実現して、存在感を発揮したいところだろう。折しも、習近平主席からは突然、琉球と中国の歴史に触れる発言が飛び出した▼超大国のトップが、特定の地名を持ち出したことに警戒し、真意を探るのが外交だろうが、知事は「交流に意欲を示されたものと受け止めている」という積極的な解釈だ。この反応が外交辞令であることを願うばかりだ。