第2回竹富町訪問税審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学教授)が9日午前、竹富町役場で開かれた。審議会は観光客などの来訪によって発生する行政需要をまかなうため竹富町訪問税(仮称)について「2千円が妥当」と結論づけた。2千円は船賃に上乗せして徴収し、住民票を持つ町民と町民の扶養家族は対象外となる。今後、住民説明会やパブリックコメント等で意見を聴取し、来年1月末に第3回審議会を開いて報告書をまとめていく方針。税金の使途を限定した法定目的税ではなく、限定しない法定外普通税として2025年度の導入を目指している。導入されれば広島県廿日市市の宮島に次いで全国2例目となる。
来訪者に対応するための行政需要は年間約10億円と試算。年間入域客数の約100万人で割ると一人当たりの金額は千円程度になる。それに財政難で進んでいない公共事業や持続的に必要なインフラ整備の費用、観光客を含めた防災備蓄費をまかなう金額、さらにはオーバーツーリズムに対応する案として千円、2千円、3千円の3段階の選択肢を議論した。
千円の場合、これからの観光振興、滞在者の受け入れ整備など十分な対応ができない点、さらに3千円では観光業者の反対が大きいことが予想されるとして、「2千円が妥当」との結論に至った。徴収される税は年間約20億円になる。
また、課税対象についてこの日の議論では、町民以外に介護従事者などのエッセンシャルワーカーや工事関係の施工業者、郷友会関係は特別扱いとして除かれる見込み。そのほか、課税対象外とする範囲は最終報告に向けて絞り込みをしていく予定。
青木委員長は審議会後の取材に応じ、「税金として課税することは必ず観光事業者のためにもなり、皆さんの得にもなる。観光で来ていただいた方の負担で将来に投資をしていくことは必要不可欠。(2千円は)間違いなく必要な費用を割り戻して出した数字」と説明。
その上で「これをきっかけに町民の方が5年先、10年先の竹富町のそれぞれの島の発展を考える起爆剤にしてほしい。およそ20億集まるお金をどう使うのか、みなさんで決めていただきたい」と述べた。
町は船会社3社に事前に船賃への上乗せを打診し、課題は今後も検討していくとした上で「協力は惜しまない」回答があったと説明した。