木原稔防衛相は29日までに、八重山日報など県内報道各社のインタビューに応じた。有事に備え、自衛隊などが円滑に利用できるよう整備を進める「特定重要拠点空港・港湾」の指定に玉城デニー県政が慎重な姿勢を示していることに関し、県管理のインフラについて「県の合意が得られない場合は(特定重要拠点の)取り組みの対象とはならない」と明言した。政府は県内から12空港・港湾を特定重要拠点の候補に挙げており、この中には新石垣空港、与那国空港など八重山の3空港や港湾も含まれている。
木原防衛相は特定重要拠点の指定について「今回の取り組みの趣旨は、国家安全保障戦略に基づいて総合的な防衛体制を強化することだ。民生利用を主としつつ、自衛隊や海上保安庁の円滑な利用にも資するように、公共インフラ整備を進めていく」と説明。
その上で空港、港湾管理者との関係について「インフラ管理者と政府との間で、円滑な利用に関する枠組みについて合意した上で実施する」とし、管理者が県である場合、インフラ整備には県の合意が必要との認識を示した。
新石垣空港、与那国空港など県内12空港は県が管理。特定重要拠点指定の打診に対し、県は「現時点では不明点が多く、引き続き国と調整を進めていきたい」と回答したという。
防衛相は「沖縄県からいただいた質問に対しては、誠実に対応させていただきたい。厳しさを増す安全保障環境への対応のみならず(空港・港湾の整備は)民生利用を主とすることから、沖縄振興にも資する」と指摘。県に対し引き続き理解を求める考えを表明した。
石垣市、与那国町は特定重要拠点の枠組みを活用し、新石垣空港、与那国空港の滑走路延長や、石垣港、与那国町内の新港湾の整備を推進したい考え。既に中山義隆市長、糸数健一町長が防衛相と面会し、地元の意向を伝えた。
防衛相は「前向きなお考えは私自身も直接聞いている。こちらもありがたく受け止めながら、一方では地元住民にも丁寧に説明を続けなければならないと思っている」と述べた。
石垣市の尖閣諸島問題を巡り、中国軍幹部が将来、台湾と尖閣諸島に同時侵攻する可能性を示唆したとの報道について問われ「中国側が発言することに逐一コメントしない」と言及を回避。
一方で「中国側の一方的な現状変更の試みに対しては、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの考えのもと、毅然かつ冷静に対処していく」と強調した。
米軍オスプレイの墜落事故を受けた対応を問われ「オスプレイ配備は災害救難や離島防衛を含む安全保障にとって重要な意義を有し、抑止力、対処力の向上に資する。米軍オスプレイの配備撤回を求める考えはない」と述べ、安全性が確認されれば、飛行再開を容認する考えを明らかにした。