中国船が尖閣諸島周辺で領海侵入を繰り返している現状に懸念を示す玉城デニー知事のコメントを聞いて、一瞬違和感を覚えた。別に間違いではない。「宮古、八重山地域の住民はもとより、広く県民に不安を与える」と述べたのだ◆尖閣諸島は石垣市の行政区域なのに、なぜ「宮古」が八重山の先に入ってくるのか。調べてみると「宮古、八重山」という言い方は沖縄本島住民の常套句で、要するに本島から近い順番に両地方を並べているらしい。玉城知事は県庁職員が書いた答弁を読み上げただけだが、この職員が本島の出身者であることは請け合いだ◆本島で取材すると、現地住民の「本島目線」の考え方、ものの言い方に「あれ?」と思うことは多い◆離島出身者でさえ、大都会の本島に住み始めると、離島に対し、つい優越感のようなものを抱き始める。差別とまではいかなくても、そうした「格上」意識が知らず知らずに浸透し「本島目線」につながっていくのだと推測する◆自分自身は、草深い離島の生まれであることに誇りとプライドがある。都会にいても、都会人が見えないものが見え、聞こえない声が聞こえる感覚が愉しい。「オール沖縄」県政で本島偏重の政治が目立つ今だからこそ「離島目線」の感覚で情報発信を続けたい。