「戦争は少数の人間が始め、大勢の人間が犠牲になる」。ウクライナから沖縄に避難している女性の言葉だ。独裁者となったプーチン大統領が国際社会の警告を無視し、強引にウクライナへ侵攻した事実を指している◆世界史を振り返っても、圧倒的に多くの戦争は独裁政権が始めた。民衆の熱狂的な愛国主義に突き上げられて戦争を始めたように見せかけつつ、実はその愛国主義を煽っていたのも、官製メディアだった。情報がオープンな民主主義社会では、大多数の民衆は戦争を望まない◆独裁国家と戦争の親和性は高い。現在、沖縄にとって最大の懸念は台湾有事だが、隣国に世界最大の独裁国家である中国が存在することが、県民にとって地理的な不幸となっている◆天安門事件以降、中国の民主化は長期停滞している。だがその行方は中国の国内問題でなく、広く世界にも波及し、沖縄の将来を決するかも知れない◆翁長雄志前知事は「アジアのダイナミズムを取り込む」と述べ、中国から観光客を呼び込むことで経済的利益を得ようとした。一方で中国の政治体制へ何ら懸念を示さなかったのは、政治家としてあまりに近視眼的だったと言わざるを得ない。今、翁長氏の後継者が全く同じ過ちを犯しているのを、県民は目撃している。