尖閣問題「二重基準」 当事者意識薄い県を追及

県議会で代表質問に答弁する玉城知事=21日

 21日の県議会代表質問で、尖閣諸島を行政区域に抱える石垣市区選出の大浜一郎氏が「米軍の事件事故には即座に抗議するのに、相手が中国になると『日本政府に解決を求める』と当事者意識がない。ダブルスタンダードではないか」と玉城デニー知事を追及する場面があった。中国に直接抗議しない理由について玉城知事は「尖閣の課題は国において、平和的・建設的な対話の環境で解決に当たってほしい」と述べるにとどめた。尖閣問題は「まず国の問題」との認識を示した形で、県の当事者意識の薄さが改めて浮き彫りになった。
 大浜氏は台湾有事の懸念や、南シナ海、東シナ海の紛争について「すべて中国の身勝手な振る舞いに起因する。国際秩序を乱している元凶だ」と指摘。「知事は現実的に情勢を認識する努力をすべきだ」と述べた。
 抑止力を強化することで攻撃目標となる恐れがあるとの知事の持論に対し「感情論に過ぎるのではないか。軍事力強化を先に進めているのは中国政府だ。知事の立論は論理的に破綻している」と批判した。
 溜政仁知事公室長は「尖閣を巡っては日本と中国の政府間で見解の相違があるため、日中両国の政府で協議が行われている。国の主権に関わる問題は、一義的には政府で対応する」と、尖閣問題が「国の問題」である理由を説明。玉城知事も「政府にさまざまな問題の解決が図られるよう強くお願いしている」と強調した。
 一方、溜知事公室長は、米軍の事件・事故などに関し「過重な基地負担について日米両政府に抗議要請を行っている」と、県が直接対応すべきとの考えを示した。
 大浜氏は「知事は尖閣問題を自分事と思っていない。だめなものはだめと言えないのか」となおも迫り、玉城知事は「国と県は同じ考えでいるということだ」と語気を強めた。
 昨年、玉城知事が訪中するなど、県が力を入れている「地域外交」について大浜氏は「外交という名称には違和感しかない。国が行う外交とは別に、自治体が独自に地域外交と称して海外に向けた施策をする上で、国益を毀損する取り組みは絶対に御法度(ごはっと)だ」とくぎを刺した。
 溜室長は、地域外交を展開するため2024年度予算案に海外出張費約660万円、委託料約2370万円を計上していると明らかにした。
 24年度に平和地域外交推進課を新設し、部局横断的、総合的に地域外交を推進する。効果的に地域外交を行うため、外部有識者の会合を設置して意見を聴取する考えも示した。

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