沖縄の言語や文学、芸能の研究に顕著な功績を上げ、八重山の祭祀・文化の継承に貢献した個人や団体を表彰する第7回宮良當壯賞(主催・同選考委員会、八重山日報社)の授賞式が23日午後、石垣市内の蓬莱閣で行われた。研究部門では県立高等学校長協会の大城公男元会長(87)、地域民俗芸能部門では与那国舞踊研究所(久手堅一子代表)がそれぞれ受賞した。
謝辞で大城氏は「多くの人の支えがあり、研究活動を続けられた。地元から賞を頂けたのは、望外の喜びで感動した。心から感謝する」、久手堅氏は「受賞できたのは、舞踊を守り、継承された先輩方や島の皆様の努力のおかげだ。今後も仲間と共に生まれ島への思いを絶やすことなく与那国舞踊の継承と発展に努めたい」と、それぞれ述べ、受賞に感謝した。
祝辞で石垣市の中山義隆市長は「大城氏の研究成果は学問的な価値が高い」と評価。与那国舞踊研究所の活動は「民俗芸能の新しい継承モデルだ。会員の熱意に経緯を表する」とたたえた。
竹富町の前泊正人町長は「今後も大城氏の著書から学んでいきたい。八重山文化に寄与する大きな成果を上げてこられた」と評価。与那国町の糸数健一町長は「島の芸能復活を目指す与那国舞踊研究所の取り組みに心から敬意を表したい」とたたえた。
大城氏は鳩間島出身。八重山高校、琉球大学を経て、1961年4月に教職に就いた。母校を含む県内学校で教員を務める傍ら、郷土の祭祀や宗教の研究を続けた。八重山農林高校の校長、校長協会の会長を歴任後、東北大学大学院に進学(2001年4月)。2年後に修了した。生まれ島の習俗をまとめた「八重山鳩間島民俗誌」(11年8月)、祭事を研究した「八重山・祭りの源流」(18年6月)を刊行。13年には瑞宝小綬章を受章。
与那国舞踊研究所は在沖縄与那国郷友会の有志が2022年に設立した舞踊団体。代表の久手堅氏は、設立前から故郷の与那国島で町や関係者から支援を受け、民俗舞踊の継承活動に参加。那覇市で公演も成功させた。小中学生など若い世代も所属し沖縄本島を中心に活動を続けている。故郷の伝統を後世に残す久手堅氏や関係者の取り組みが高く評価され、今回表彰された。