石垣市は4月25~27日に行った尖閣諸島の海洋調査結果を10日公表し、魚釣島でヤギによる食害が進み、植生の衰退が深刻化している現状を報告した。中国から流れ出た多数の海洋ごみの漂着も確認。記者会見した中山義隆市長は「自然環境を保全するため、国には上陸調査と、漂着ごみ対策の必要性を訴える」と述べた。
魚群探知機による調査で、魚釣島に近づくほど魚の種類が豊富で八重山漁協による管理が必要な豊かな漁場であることがわかった。東海大の山田吉彦教授は、魚釣島周辺では水温が25度以上の高温で、継続的な調査が必要と指摘した。
八重山日報社の記者が撮影した写真やドローンの映像からヤギの繁殖を確認。クバなどの植物を食べつくす食害の影響で、沿岸部にはアダンなどの植物しか育たないほど植生が変化したことが判明した。島の広範囲で繁殖し北側斜面の崩落原因はヤギの食害であると分析された。
山田教授は「2014年のデータと比較しても、植物が減少した。島内を流れる川の本数も減った。8本あった12年前と比べ、今回は2本しか確認できなかった」と説明。希少種のサワガニやモグラ、ツツジも激減した可能性を示唆した。
市は今後も策定中の第2期石垣市海洋基本計画に基づき、自然環境、漁業資源の調査を進める。
石垣市の尖閣海洋調査は今回で3回目。3日間で調査船は石垣港と魚釣島周辺を2往復し、中山氏や山田氏、稲田朋美元防衛相を含む国会議員、メディア関係者が乗船。魚釣島の北側からドローンを使って空撮した。
尖閣周辺に常駐している中国海警局の艦船は市の調査船に約1㌔の距離まで接近したが、石垣海上保安部の巡視船が阻止。ただ、この影響で市は一部の調査活動の変更を余儀なくされた。