「特定利用」指定方針明記 新空港、第2期海洋基本計画で 尖閣での施設建設「要請」 石垣市

新石垣空港の特定利用空港指定や尖閣諸島に関する取り組みを記載した「第2期石垣市海洋基本計画」の冊子

 石垣市は、長期的な視点で海を守り活用していくための「第2期海洋基本計画」を策定し、ホームページで公表した。海洋の安全強化に向け港湾・空港の整備を進める方針を示し、新石垣空港に関し、今後も「特定利用空港」の指定に向けた国、県への要請を継続すると明記した。尖閣諸島については漁業施設、自然環境保全拠点施設建設のため、国、県に「継続的に実現を要請する」と踏み込んだ。

 第2期計画の計画期間は2024年度から10年間。市を取り巻く海洋生物資源の活用、海洋環境と文化を活用した観光振興、国際交流、尖閣諸島に関する取り組みなどを記載した。
 国は23年に閣議決定した第4期海洋基本計画で「総合的な海洋の安全保障」を基本方針の一つに位置付けた。これを受け市も第2期計画で「海洋の安全に関わる港湾・空港の整備、海洋で発生する自然災害の防災・減殺および海難事故対策」の項目を新設した。
 国は平素から自衛隊や海上保安庁が円滑に空港・港湾を利用できるようにする「特定利用空港・港湾」の制度を設け、今年4月には第一弾として石垣港など全国16施設を指定した。
 新石垣空港は指定候補に入ったものの県の同意が得られず指定は見送られた。だが中山義隆市長は指定に意欲を示しており、第2期計画では、指定を目指す方針を市の施策として明確に位置付けた形になった。
 尖閣諸島で漁業施設、自然環境保全拠点施設建設の可能性を検討する方針は第1期計画にも記載されたが、第2期計画では「市単独では実施不可能であるため、国および沖縄県に継続的に実現を要請する」と、実現に向けた方向性を示した。
 尖閣諸島を巡ってはほかに、2021年度から開始した尖閣諸島周辺海域での洋上調査に関する情報も盛り込んだ。調査で得られる成果は、国内外に積極的に発信するとともに、小中学生への周知も継続的に行うなど、教育にも活用する。アホウドリの保護や外来生物ヤギの繁殖問題についても触れ、調査で撮影された写真も掲載した。
 「海洋人材の育成と理解の増進」の項目も新たに計画に加えた。学校での海洋教育、漁業の担い手、船員を養成する方針について言及した。
 市は第1期計画を2013年度に策定しており、今回が初の改定。外部有識者や経済団体代表など9人で組織する同計画策定委員会(会長・山田吉彦東海大教授)は今年1月と5月に会合を開き、計画案を市に報告していた。4月には計画案のパブリックコメント(市民意見募集)も行われた。

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