台湾有事などをにらみ、石垣市は25日午後、市中央運動公園の屋内練習場で「住民避難登録センター」設置の実地確認を行った。県主催の国民保護訓練に関する検討会の一環。同センターでは国民保護法に基づき住民の島外避難を進めるため、住民登録、手荷物の事前確認、航空機の座席登録を行う。この日は一連の確認作業を目標時間内に実施できるか検証した。全国初の実地確認で、内閣官房、国交省など国の職員も視察。約100人が参加した。
一度に島外に避難できる住民を165人(小型機使用で満席)と想定し、5分の1に当たる33人の登録作業を目標の20分で完了できるか検証した。参加者のうち26人は市の公式LINE(ライン)で事前に避難者情報の登録を済ませたグループだが、残る7人は未完了。また、機内持ち込みが禁止されている物品の所持者や大きすぎる手荷物を持ち込む人も交ぜた。
33人がバスを使用した想定でセンターに到着。受け付け確認後に手荷物をチェックした。テーブルに移動し住民登録と航空機の座席登録を済ませ、案内があるまで待機した。
人数がそろうと、QRコードで読み取りを済ませた。実際の避難では、この後に再びバスに乗り、石垣空港に移動する。
住民役を市の職員などが担当。対応者役は案内4人、受付2人、手荷物確認9人、登録支援・統制4人など計27人で、市と町の職員が担当した。検証は2回行われ、1回目は約28分、2回目は約13分で手続きを完了させた。
ろうあ者や視覚障害者、身体障害者も参加し、警察や関係機関、航空会社などの関係者も視察した。
有事発生が予測される場合、政府は武力攻撃が始まる前に、同予測事態を認定。沖縄県や先島地域の5自治体は住民や観光客の県外避難を進める。想定では約12万人が避難する。
八重山では、竹富町民が町内の各離島から定期航路で石垣港に到着し、一時滞在場所に移動。石垣市民は一時集合場所から、町民は滞在場所から、それぞれバスを使って運動公園のセンターに集まり、住民登録と航空機の座席登録を行う。
与那国町は与那国空港から1日で島外避難を完了させる想定。住民の一部は船舶などを使用する。過去には、石垣島への一時避難も想定されたが、今回の実地確認では、石垣市、竹富町の住民と観光客のセンター使用を想定した。
確認・登録作業は内閣官房のQRシステムを活用。石垣市公式LINEとの連携が必要だが、今回は連携が取れているとの前提で実施された。
同日夜には石垣空港での実地確認もあった。