【視点】尖閣130年 改めて認識深めよう

 日本政府が尖閣諸島を日本領に編入して、今年で130年の節目となる。何度も繰り返されていることだが、尖閣諸島が日本の領土であることは歴史的にも国際法上も異論の余地はない。この機会に日本人自身が改めて尖閣諸島に対する認識を深めることが大事だ。
 歴史的に尖閣諸島は、どの国にも属していない無主地だった。日本政府は他国の支配が及んでいないことを確認した上で1895年1月14日、尖閣諸島を日本領土に編入する閣議決定を行った。
 尖閣諸島では明治期から実業家による古賀辰四郎氏による開拓が進み、アホウドリの羽毛採取やカツオ節製造などの事業が展開されている。
 一時期は200人以上の日本人が居住していたこともあるが、戦争などで事業が衰退し、無人島化してしまった。
 1970年代、尖閣周辺で石油資源が埋蔵されている可能性が指摘されたことを受け、中国と台湾が尖閣領有権の主張を始めた。
 その後、尖閣諸島に関しては日中双方が現状変更の行動を自制している状況が続いたが、中国が発展し、経済力や軍事力が日本を凌駕するようになると事態が急変する。2012年の日本政府による尖閣国有化を口実に、中国は実力行使による尖閣の侵奪を試みるようになる。
 2024年に中国海警局の艦船が尖閣諸島周辺の接続水域を航行した日数は355日、領海侵入は延べ115隻で、いずれも過去最多を記録した。尖閣周辺海域では中国艦船が4隻体制で常駐しているが、24年からは、すべて機関砲らしきもので武装するようになっている。
 石垣市は2010年に条例を制定し、1月14日を「尖閣諸島開拓の日」と位置付けた。その後、この日に合わせて毎年式典を開催し、尖閣諸島が市の行政区域であることを内外に発信している。
 中山義隆市長は今年の式典で、魚釣島で繁殖し、植生に食害を及ぼしているヤギの捕獲、漂着ごみの回収、尖閣戦時遭難事件犠牲者の遺骨回収の必要性を指摘。政府に尖閣上陸の許可を出すよう訴えた。
 来賓の野党代表からも、日本の実効支配を明確にするため、公務員の上陸や常駐の必要性を指摘する声が出た。
 タイミングを慎重に図る必要があるとしても、いずれ上陸は絶対に必要だ。さらに市がこれまでも求めてきた気象観測施設や、漁船が避難できる港湾などの整備に踏み込むことも検討すべきだ。
 上陸や施設整備を前提として綿密にプランを練り、場合によっては、それを中国に対する外交カードに使うくらいのしたたかさが求められる。
 だが、外交を十分に機能させるには、背後にパワーとしての抑止力が存在していなくてはならない。国民、特に沖縄県民や八重山住民が自衛隊や海上保安庁の活動に対する理解を深め、協力体制を構築することが大事である。

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