石垣市観光交流協会の会長人事には意表を突かれた。「きっと地元観光業の会社社長の誰かが引き継ぐのだろう」と高をくくった自分の固定観念の頑迷さを恥じ入る◆協会は大松宏昭会長(八重山観光フェリー社長)の後任に中山義隆市長を充てた。市長の就任は年ぶり。新型コロナウイルスで打撃を受けた地元観光業界の立て直しを図る◆業界内で後釜を探すのに苦戦した背景があったと聞く。会長は公務が多く、本業そっちのけにならなければならないときがある。今はどの会社も本業で精いっぱいでそれどころではないという◆市長がトップなら市政と連動し、実情に合わせた回復策を示すことができる。業界の声をまとめ、改めて機会を見つけて市長に陳情する各駅停車も解消し、スピード感が増す。市長が後任を引き受けたのも現状に対する危機感の表れだったのだろう◆新石垣空港開港から観光客は右肩上がりで業界は左うちわだった。好調時は極端な話、誰がトップでもうまくいく。それが一転どん底にたたき落とされた。市長はリーダーシップを発揮し、息を吹き返す道筋を提示してほしい。そして時を見て会長職を再び民間に明け渡したらいい。それがコロナが落着した宣言になるのだから。(I)