玉城デニー知事は16日、宜野湾市のホテルで林芳正官房長官と会談し、在沖米兵による性的暴行事件が相次いでいる現状を指摘。「米軍に対し、隊員教育の見直しなど実効性ある対策を働きかけてほしい」と要望した。米軍普天間飛行場の周辺で高濃度のPFОS(有機フッ素化合物)などが検出され「県の調査でも汚染源は基地の蓋然性が高いことが分かっている」として、基地内の立ち入り調査に協力を求めた。
米兵による事件事故の防止に向けた「フォーラム」創設、日中韓サミット、太平洋島サミット関連イベントの県内開催などにも言及した。与那国島周辺で中国が設置したブイの撤去も申し入れた。
米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設問題については触れなかった。玉城知事は「時間がなかった」としている。
面会後、報道陣の取材に応じた林氏は「引き続き目に見える形で基地負担軽減ができるよう全力を尽くす」と強調。普天間飛行場の返還時期について「代替施設の完成後に部隊の移転プロセスなどを考慮した上で決定される。現段階で具体的に示すのは困難」と明言を避けた。
その上で「提供手続きの完了後、早期に全面返還が実現できるよう引き続き米国と緊密に連携したい」と強調した。
玉城知事は報道陣の取材に対し、米軍との「フォーラム」創設に向けた取り組みの現状について「米側が求めている形と、我々が『こうであれば可能ではないか』という環境がきちんと整っていない」と説明。日本政府も責任を持って関与すべきとの考えを示した。
日米地位協定の改定に関し「(石破茂)首相とも胸襟を開いた意見交換をさせていただければ」と首相との早期面会に期待した。
林氏は、16日に宜野湾市で開催された沖縄健康医療拠点開所式に出席するため来県した。就任後、玉城知事との会談は2024年1月以来、2回目。