対馬丸「世界に伝えるべき」 宮本、国仲さんら舞台の制作発表

対馬丸事件を題材にした舞台の制作発表を行った宮本さん(右から5番目)、国仲さん(同7番目)ら=24日午後、対馬丸記念館

 1944年、沖縄から九州に向かった学童疎開船「対馬丸」が米軍に撃沈された悲劇を舞台化した「戦後80年祈念 生きているから~対馬丸ものがたり~」の制作発表が24日、那覇市の対馬丸記念館で開かれ、演出家の宮本亜門さん、出演者の国仲涼子さんらが記者会見に臨んだ。宮本さんは「あちこちで戦争が始まったり、ニュースで子どもが亡くなる話を聞いて、対馬丸の事件こそ沖縄だけなく、世界に伝えるべきと決意した」と語った。公演は8月16日、那覇文化芸術劇場なはーとで開催される。

 主要キャストや舞台を支えるスタッフは沖縄出身者で固めた。出演する子どもたちはオーディションで地元から選出。語り部の国仲さんのほか、吉田妙子さん、尚玄さん、川田広樹(ガレッジセール)、新城カメーさんらが出演する。
 楽曲提供はBEGINの島袋優さん、音楽は辺士名直子さん、振り付けは新垣寿子さんが担当する。
 宮本さんは「ヤマトンチュは僕だけだが、一人ひとりの思いに寄り添い、沖縄の血を持っている人たちと一緒に話し合い、感じあいながら舞台を作りたい」と期待した。
 昨年、宮本さんから出演の打診を受けた国仲さんは「沖縄出身として伝えるものがあればと思っているので、参加できるのはうれしい限り。出演する子どもたちが私の息子たちと同じくらいの年なので、そういう子たちにも命の大切さを伝えていきたい」と意気込んだ。
 吉田さんは幼いころ、対馬丸に乗船予定だったが家族の反対で見送り、難を逃れた経験を持つという。「同級生が海の底に沈んでしまい、自分は生きてよかったと喜ぶこともできない。この作品を通じて命の尊さ、生きている有り難さを分かっていただき、二度と戦争がないように願いたい」と訴えた。
 「怖いから」とあえて対馬丸記念館を訪れることもなかったが、この日初めて足を踏み入れ、記念館スタッフの調査で生存者に同級生がいることを確認できた。「何かのご縁か、宮本さんの作品に出合って感謝している」と言葉に感慨を込めた。
 主演の子役、松永梨楓(りんか)さんは「戦争は忘れてはいけない歴史の一つ。昔はおいしいご飯や、平和が当たり前ではなかったことを伝えられるよう頑張る」と決意表明した。
 舞台は戦後80年を考える対馬丸実行委員会が主催、沖縄県と那覇市が共催する。公演は正午と午後5時の2回で、観劇料は一般3000円、24歳以下2000円、小中学校100円(障害者割引あり)。チケットは6月16日から記念館などで販売する。公演のクラウドファンディングも行っている。

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