石垣市の前勢岳周辺で株式会社ユニマットプレシャス(本社東京、高橋洋二代表取締役)が計画しているゴルフ場付きリゾート施設建設計画への対応も石垣市長選の争点となっている。前職、中山義隆氏は推進、前市議の新人、砥板芳行氏は慎重な姿勢だ。
▽予定地127・4㌶
石垣市では新石垣空港建設に伴って既存のゴルフ場が閉鎖され、チャンピオンコースのゴルフ場が存在しなくなった。地元経済界や八重山ゴルフ協会はゴルフ場の早期建設を強く求めている。
ユニマットプレシャスが開発業者として名乗りを挙げ、用地を取得。県は5月、予定地の開発許可と予定地の農地転用許可を出した。県ホームページなどによると、ゴルフ場付きリゾート施設は仮称「石垣リゾート&コミュニティ」。面積は約127・4㌶で、予定地は石垣市新川と石垣にまたがる。
チャンピオンコースのゴルフ場のほか、敷地内に総客室数約500のホテル6棟、ヴィラ58戸、クラブハウスを整備する。建設用地のほとんどを同社が所有しており、一部市有地の借地もある。
ただ、着工時期は現時点で未定だ。
環境アセスの手続きは2021年までにほぼ終えたが、自然保護団体からは計画に反対する声が上がっている。
▽「注視」
ゴルフ場建設予定地周辺にはラムサール条約湿地の名蔵アンパルをはじめ、豊かな自然がある。予定地では国の特別天然記念物カンムリワシが営巣する。
砥板氏は「周辺農地や自然環境への影響を多くの市民が懸念している。最近では数百年前の風葬墓の存在について調査があった。このままゴルフ場建設を強行することは反対だ」と主張する。
一方で「民間企業が法令、条例にのっとって行う開発行為なので、それを政治的判断で反対して中止に追い込むことはあってはならない。適切に進められるよう注視する」と、あくまで法令に基づいた対応を重視する考えを示した。
▽「環境に配慮」
中山氏は1期目の市長選から、一貫してゴルフ場の早期建設を公約に掲げてきた。
ゴルフ場の必要性について「ゴルフ場がなくなった影響で、石垣島への社員旅行や報奨旅行が激減しており、ゴルフ場がある隣の宮古島に流れている。国際観光地としても、最低一つのゴルフ場は必要だ」と指摘。
自然保護団体の懸念については「環境破壊を懸念している皆さんもいる。環境に配慮したゴルフ場の開発を進めていく」と言明した。
新石垣空港建設時も「環境に優しい開発ができた」とする。「ゴルフ場建設についても同様に、名蔵湾の環境を守りながら推進していきたい」(続く)