任期満了に伴う与那国町長選(19日告示、24日投開票)は21日、3日攻防に突入。立候補した新人の上地常夫氏(61)、新人の田里千代基氏(67)、現職の糸数健一氏(72)は、連日街頭に立ち政策を訴えている。3候補は夕方に各地区の中心地に立ち、最大の争点である診療所の医師撤退問題などを取り上げた。真剣な眼差しで聞いた女性は「病院がなくなるのは嫌だ」と話し、候補者の政策で診療所を残してほしいと願っていた。
上地氏は21日、役場裏でマイクを握った。診療所からの医師撤退は「絶対にあってはならない」と危機感を示し、解決策として「与那国町と県、地域医療振興協会で協議会を立ち上げ、段階的な県立化を目指す」と提言した。
町議時代から繰り返し一般質問で取り上げてきた介護施設「月桃の里」の今後は「財産を譲り受け、民間法人を誘致。速やかに特養を再開させる」と強調。町役場改革など複数の政策も列挙した。
田里氏は21日、祖納の街頭で目指す将来像を熱弁。「診療所や介護施設の問題は、行政側が関係団体との信頼関係を壊したため発生した」と糸数町政を非難し、2団体の幹部から直接「役場側の不手際を聞かされてきた」と説明した。
診療所関係者からは「私が町長になれば、『2人の医師を送る』と言われた」と支持を訴えた。
地域医療の専門家も陣営の応援を行うと紹介。「当選後は速やかに問題を解決する」と自信を見せた。
糸数氏は20日に久部良地区で行った演説で医師撤退の問題は交渉を続けていると紹介。月桃の里は「管理団体が施設を町に無償譲渡する」と説明。町民のみが対象の施設なら「町長の権限で認可が可能」と主張し、介護人材の雇用創出や介護難民の防止を実現できると訴えた。
田里氏と同様、台湾との間で定期船航路を開設すべきと強調。「西表の白浜港も整備し航路に加えれば、大きな経済圏になる」と述べ、竹富町とも議論を重ねてきたと自信を見せた。