24日の与那国町長選挙で初当選した上地常夫氏(61)は25日午前、報道各社の取材に応じた。「私は自衛隊容認派だ。ただ、この島(の規模)に合った人数・配備数があると思う。現状の人員規模で運営するのが良い」と述べ、今後の自衛隊増強には慎重な姿勢を示した。玉城県政については「支持しない」と明言。一方で、「無医地区」への対応には県に協力を求めるとした。
防衛省が配備予定のミサイルは「機能の説明を受けて判断する」と従来の姿勢を堅持。他国などを攻撃できる能力は与那国島に不向きとしつつ「防衛用なら反対しない」とする姿勢だ。
隊員が家族帯同で赴任すれば、その子どもは島内の小中学校で学ぶため「島の子どもと切磋琢磨できる」と教育上のメリットにも期待した。
与那国島では、自衛隊配備を巡り、過去に住民投票を実施した。上地氏は当時、町役場の総務課長として関わっている。
「投票の結果、賛成派が多数を占めた。それ以来、反対の声は上がらなくなった」と述べ、現在は自衛隊への理解が進んでいるとの認識を強調した。
既に自衛官の家族が保育所で働いた例もあり、今後も町内で雇用できる人材として期待感を示した。
診療所に医師を派遣している地域医療振興協会との早急な意見交換にも意欲を見せ、「28日の初登庁時に日程調整したい」と力を込めた。
自身は自民党員で考え方は「保守」と説明。陣営に加わった革新町議2氏は「町民と対話できる行政を私に求めた」と振り返り、選挙協力の根拠を示した。
町議補選の当選者も含め、議会の与党形成に自信を見せた。
比川新港計画について、糸数前町政が国に要請した案に政府は「ノープラン」と指摘。実行可能性は低いと分析した。一方、島の南側に港湾を求める世論も町内にはあると強調。石垣島の海上保安庁が使う規模のバースが与那国にもあれば、「台湾の密輸船監視にも効果がある」と期待した。