沖縄を代表する演劇の「組踊」が創始者・玉城朝薫によって初演されてから今年で300年を迎える。県が組織した組踊上演300周年記念事業実行委員会(会長・玉城デニー知事)は、沖縄の復帰記念日の5月15日に記念事業開幕式典を国立劇場おきなわで開く、年間を通して関連行事を展開し、県民に組踊への関心を深めてもらう。
開幕式典が開かれる15日は、組踊が重要無形文化財に指定された日でもある。狂言師で人間国宝の野村萬氏、日本芸術文化振興会の河村潤子理事長が出席を予定。文化庁長官の出席も調整している。
式典では、玉城朝薫作の「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」が披露される。式典参加者は来賓や招待者などで一般客は参加不可。
その後の関連行事として実行委は、記念展覧会を7月5日から11月14日まで首里城公園や県立博物館・美術館で開催する。また、7月から本島北部や石垣市などで公演を行い、10月から11月にかけ、県外7都市での巡回公演も予定する。記念シンポジウムや記念碑建立にも取り組む。
11月2、3日には、首里城公演も企画されている。城内の御庭に舞台を設置し、琉球王国時代に行われた公演方法を再現する。一般客も参加が可能。
実行委が募集していたキャッチコピーに、県内の小学生、名嘉うらら さん(11))の作品「広げよう この感動を つなごう まだ見ぬ未来まで」が決定した。
組踊は18世紀初頭の冊封使を歓待するための役職「踊奉行(おどりぶぎょう)」だった朝薫が創作した。日本の能・狂言や歌舞伎などを参考に、沖縄独自の言葉や音楽、舞踊で構成される歌舞劇。日本を代表する伝統芸能の一つで、沖縄の伝統芸能を集約した総合芸術とも称される。1719年の尚敬王の冊封儀礼の際に「二童敵討(にどうてきうち)」と「執心鐘入」の2作品が初演された。
2010年11月16日、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産保護条約に基づく「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」に記載された。