【視点】改憲、消費増税、基地争点に 視点

 10日公示、22日投開票の衆院選は、全国では自公、希望の党、立憲民主党、社民、共産の戦いとなる構図が固まった。沖縄では、米軍普天間飛行場の移設問題を対立軸に、「オール沖縄」勢力、自民、維新がしのぎを削る。
 ここへ来ていくつか大きな争点が浮上した。政権選択の選挙として、まず安倍政権の是非が問われる。与党は「アベノミクス」や安全保障法制、緊迫する北朝鮮問題への対応などの実績を掲げ、自公政権の安定感を強調。野党は森友、加計学園問題などを追及し、首相は説明責任を果たしていないと指摘、「大義なき解散だ」と批判している。
 憲法改正も重要なテーマだ。自民、希望、維新は前向きな姿勢を示したが、立憲、共産、社民は消極的だ。特に戦力不保持を定めた9条が争点になる。日本を取り巻く厳しい安全保障環境、今後勃発する大規模災害の可能性を考えると、自衛隊の存在感は、将来にわたり高まる一方だ。自衛隊が「違憲」と解釈される余地を残す条文のままでいいのか問われる。
 沖縄の米軍基地負担軽減に向けた方策として、在沖米軍を縮小し、米軍施設を自衛隊が使用できるようにするのも一つの案だ。辺野古移設をめぐり、開会中の県議会で興味深い発言があった。自民県議が翁長雄志知事に対し「移設を容認し、30年後には(代替施設を)自衛隊が活用するという落としどころを考えるべきではないか」と提案した。「米軍に代わる自衛隊」という考えを推し進めるならば、いずれ9条の改正は不可避になるだろう。
 消費税増税をめぐっても各党の考えは割れている。自民は2019年10月の消費税率10%への引き上げを予定通り実施し、幼児教育の無償化などに振り向けたい考えだが、希望や立憲は増税凍結を訴える。
 過去最多の観光客が来県し、空前の活況とも言われる県経済だが、観光と直接関連のない業種や、中小零細企業まで好景気の恩恵が行き渡っていない。その意味では多くの県民が依然、経済的な苦境にあえいでおり、その上、少子高齢化や人口減少で将来に不安を感じている。消費増税は、こうした状況も考慮に入れた上で検討されなくてはならない。
 沖縄では4つの小選挙区に12人が立候補する。前回2014年衆院選と同じ対立の構図となっており、基地問題、特に辺野古移設は依然、一つの争点だ。候補者や政党間で堂々とした論議が望まれる。ただ前回と違い、辺野古だけが争点という雰囲気はだいぶ薄れている。
 改憲や消費増税はもとより、県民生活に密着した福祉のあり方、地域活性化の方策、離島では尖閣諸島問題や自衛隊配備問題も大きなテーマだ。
 予定候補者のうち9人は現職であり、この3年間の実績も厳しくチェックしたい。

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